パナソニックが、三菱重工相模原に62-10と大勝し、開幕3連勝を飾った。勝利の立役者はWTB梶伊織(27)だ。今季初スタメンで躍動し、自身も記憶にないという1試合3トライを決めた。前節まで同じポジションでプレーしていた19年ワールドカップ(W杯)代表の福岡堅樹(27)は7人制で東京オリンピック(五輪)を目指すため不在。その抜けた穴を埋める活躍で、チームを上昇気流に乗せた。

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梶が初スタメンの期待に応えた。前半44分に初トライを記録。勢いは衰えず、後半25分には左サイドでパスを受け、約20メートルを駆け抜け2トライ目。試合終了間際にもトライを奪い、1試合で昨シーズンのトライ数(2)を超えた。自身も記憶にないという1試合3トライのハットトリックに「率直にうれしいが、自分で打開できたわけではない」と反省も忘れなかった。

開幕戦からベンチ外が続いた。ポジション争いをする1学年下の福岡がいたからだ。19年W杯日本代表で、7人制で東京五輪日本代表を目指す福岡に代わり、今季初スタメンに抜てきされた。「準備はできていた。堅樹の代役とはできるだけ考えないようにした」と気負わず臨んだ。「試合では安易に蹴らないよう、チームで意識していた。誰かが蹴ったら、リアクションしようと思っていた」とハイボールの処理やサポートの早さなど特徴を生かそうと心掛けた。

3トライを奪い、この日はマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。しかし、浮かれた様子はない。「今日に関しては、仲間が頑張ってトライさせてくれた」とチームへのねぎらいを忘れなかった。

ディーンズ監督は新しく起用した選手のプレーを称賛し「チームとして機能したのは良い収穫だ」。梶は「どんなメンバーが出ても遜色なくできるのが、このチームの強み」と力説。3トライの活躍の余韻に浸ることなく、次を見据えていた。【平山連】

◆梶伊織(かじ・いおり)1992年(平4)1月30日生まれ、奈良県出身。小学校2年生の時にラグビーを始める。御所実業高から大東文化大に進み、14年にパナソニック加入。ポジションはWTBとCTB。昨季は4試合に出場し、10得点(2トライ)。趣味は音楽鑑賞。座右の銘は「氣力」。170センチ、75キロ。