【ソウル7日】フィギュアスケートの4大陸選手権(韓国)は8日、木洞アイスリンクで女子フリーが行われる。ショートプログラム(SP)首位で2連覇が懸かる紀平梨花(17=関大KFSC)は40分間の前日調整。4回転サルコーは決まらなかったが、浜田美栄コーチ(60)は大技の投入に前向きな姿勢を示した。照準は3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)であり、22年北京五輪。中長期的な視点を持ち合わせ、勝負のフリーへ向かう。

     ◇     ◇     ◇

本番会場の地下にある練習用リンク。午後0時10分、紀平はフリー最終組の一員として姿を見せた。前夜、帰りのバスに乗ったのは、午後10時半を過ぎた。見守った浜田コーチは「今日はちょっと(体が)重たかった」。曲をかけての通しでは、冒頭の4回転サルコーが2回転に抜けた。以降は大技を試すことなく、トリプルアクセル(3回転半)などの調整に終始した。

SPは3回転半の成功などで首位発進。紀平は演技後に「その瞬間にならないと、感覚は分からない。『やる』とは言い切れないけれど、やるつもりでイメージしたい」と4回転サルコー挑戦への意欲を示した。2位のテネル(米国)とは5・25点の大差。一夜明け、浜田コーチは「点数よりも、自分をどうしていくか」とテーマを掲げた。昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルでは転倒し、全日本選手権では初優勝を目指して回避した4回転。今回は位置づけが少し違う。

浜田コーチ 自分への挑戦。ロシア勢のことを考えないといけない。やっぱり向こうは4本持っている。1本は欲しいですよね。2年後に(北京)五輪もある。やるつもりではいます。

1月下旬に行われた欧州選手権。優勝した16歳のコストルナヤら、シニア1年目のロシア勢が表彰台を独占した。2位のシェルバコワは高難度の4回転ルッツ、3位のトルソワは今季のフリーで4本の4回転に取り組むなど、高難度のジャンプが躍進を支えている。

3月の世界選手権には、コストルナヤ、シェルバコワ、トルソワの“ロシア3人娘”がそろって出場。紀平は今大会後にチャレンジ・カップ(20日開幕、オランダ)へ出場し、大舞台へ向かう。あくまでも当日の感覚次第にはなるが、4回転の予行演習を兼ねた2連覇への挑戦が現実味を増してきた。成功させれば、シニアでは日本女子初。五輪金メダルへ、今夜も1つの通過点となる。【松本航】