【カルガリー(カナダ)=矢内由美子】女子1500メートルは高木美帆(25=日体大助手)がリンクレコードとなる1分50秒33で勝ち、W杯の同種目で9勝目、個人種目通算では11勝目を挙げた。

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残り1周の鐘が鳴った瞬間だった。高木美にスイッチが入った。カーブを抜けてバックストレートに差し掛かると、疲れて失速し始めていた同走選手との差が、みるみるうちに開いていった。

ひと蹴り毎にグンググンと伸びる様は、まるでターボエンジンを搭載しているよう。2位に1秒43の大差をつける圧勝に高木美は「滑りが良くなってきた」とさらっと言った。

初日の1000メートルで見つかった「パワーに頼りすぎ」という課題を1日で修正した。「700メートルまでを抑えすぎたという反省はあるが、最後の2周はタイムを落しすぎることなくこらえられた」と、プラン通りにレースを進めた。だが、この1勝だけで満足することはない。最大のターゲットは世界距離別選手権だからだ。「ここで過信すると1週間でひっくり返る」と気持ちを引き締めた高木美。昨年、自身がつくった1分49秒83の世界記録更新の期待がさらに高まる快走だった。