ショートプログラム(SP)5位の鍵山優真(16=神奈川・星槎国際高横浜)がフリー3位の179・00点を記録し、自己最高の合計270・61点で3位に入った。シニアの主要国際大会デビューで、羽生結弦に続く歴代2位の16歳9カ月4日で表彰台に立った。

22年北京オリンピック(五輪)を「狙っている」と宣言した新星は、世界ジュニア選手権(3月、エストニア)で頂点を狙う。

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表彰台から見えた景色は、格別だった。右隣には羽生の姿。銅メダルを首にかけた鍵山は夢心地だった。

「メダルを獲得できるなんて思ってもいなかった。ここまで努力してきて、1つのご褒美だと思います」

主戦場はジュニア。年上の選手に囲まれ、フリーも攻めるだけだった。日本で見守った父の正和コーチ(48)からは「フリーも何も考えず、本気でいけ」と背中を押された。シーズン前、数曲から直感で選んだ曲は「タッカー」。父から「俺と同じじゃないか。衣装だけはまねするなよ」と知らされ「こんな偶然はない。(父と)同じように頑張れる」と滑り込んできた。

今大会の目的は「自分が今、どれだけ戦えるかを知る」。冒頭で4回転-2回転の連続トーループを決めると、全身を使って158センチを大きく見せた。スピン3つは全て最高のレベル4。終盤に着氷が乱れたトリプルアクセル(3回転半)でさえ「体力がなかった」と笑うほど楽しんだ。「ショート(SP)は95点、フリーは85点」と自己採点し「まだ何も言っていないけれど、絶対に褒めてくれます」と父を思い浮かべた。

正和さんは92年アルベールビル、94年リレハンメル五輪に出場。息子にも当時の動画を見た記憶があるが、リアルタイムで知るのはわずか6年前のソチ五輪からだ。「羽生選手、宇野選手。小さかった僕が見ても、すごい演技だった」。記者会見ではその羽生から「こうやってシニアの舞台で戦えるのは、格好いいこと」と褒められた。SPではジュニアで禁止されている4回転を成功。順応力を憧れの存在が認めてくれた。

「北京五輪を狙っています。この試合で(シニアで)戦える準備ができた」

来月には世界ジュニア選手権が控え、成績次第では来季からのシニア転向が見える。2年後への視界が、一気に開けた。【松本航】

◆フィギュアスケートの年齢制限 国際スケート連盟(ISU)では年齢別にシニア、ジュニア、ノービスの3クラスに分けている。シングルでノービスは10~14歳、ジュニアが13~19歳(ともに大会直前の7月1日時点)。シニアは15歳以上(前年の7月1日時点)で、ISU主催大会と五輪に適用される。