東京オリンピック(五輪)の新種目スポーツクライミングで金メダルを期待される楢崎智亜(23=TEAM au)が新スキップに手応えをつかんだ。

22日、都内で行われたスピード・ジャパンカップで、「マルチン・スキップ」を実戦で初披露した。中盤の左側にあるホールドを使わない直線的な登り方。決勝では足を踏み外して2位だったが、「トモア・スキップ」だけでない、進化した姿を見せた。男子は土肥圭太(鹿児島県連盟)、女子は伊藤ふたば(TEAM au)がそれぞれ初優勝した。

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そびえ立つ壁を吸い付くように登っていく。楢崎智はいつものように、スタート直後の左側のホールドを使わない「トモア・スキップ」で勢いを付けた。金メダルへの進化が示されたのは、その後。中盤の左側にあるホールド。そこに触れず、一気に上がった。「マルチン・スキップ」。推進力を削がれるポイントで「体が左に流れない。力をまっすぐゴールに伝えられる」。後半も力強かった。

世界屈指のスピードを誇るマルチン・ジェンスキー(ポーランド)が駆使する技。昨夏の世界選手権前に「試し」で挑戦すると、一発で成功した。一般的な選手は体がねじれすぎるロスが生まれるが、体が強い楢崎智には関係なし。世界選手権ではトライしなかったが、精度を上げてきた。初の実戦挑戦に「安定していい感じだった。このままやれば、夏までに5秒台は出る」。自身が持つ日本記録は6秒159。スピードは世界との差があるが、それを少しでも埋めていく。