4季ぶりの優勝を狙うパナソニックが40-3でNTTドコモを圧倒し、開幕6連勝を飾った。帝京大から入団1年目のWTB竹山晃暉(こうき、23)が思い出の花園で2トライを挙げ「マン・オブ・ザ・マッチ」を獲得。トライ王争いで3位タイ(7トライ)に浮上した。

新人賞の有力候補は、日本代表として23年W杯フランス大会を目指す。チームは3トライ差以上のボーナスポイントも獲得。勝ち点30で首位を堅持した。

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慣れ親しんだ花園の取材エリアで、2トライを挙げた竹山が周囲を笑わせた。

「大阪の雰囲気っていうのは落ち着くんですよね」

「まぁ、奈良ですけど」

「東京とは少し違って」

「まぁ、群馬ですけど」

少年時代を過ごした奈良、今の練習場がある群馬。帝京大2年時以来、3年ぶりに立った聖地の心地よさを、“大都会育ち”を装ったユーモアに混ぜて表現した。奈良・御所実1年時に全国高校大会準優勝。3年時には大会10トライを挙げ、再び準優勝となった。

「(その後も)いろいろな経験をさせてもらってきた。高校の時と比べて、花園が小さく見えました」

長めの芝が雨で湿る条件下となり、前半21分まで0-3。それでも18点リードの後半、見せ場が立て続けにやってきた。2分には相手防御裏へのキックでFB野口のトライを演出。26、34分には左サイドを駆け抜け、2トライで試合を決定づけた。19年W杯日本代表のCTB松田力也からは「お前、花園から生まれたもんな」といじられた。京都・伏見工出身の先輩とは前日21日、コーヒーを手に「関西もええな」と語り合った。知人も多く駆けつけた一戦で、堂々と成長を示した。

第2節まではW杯日本代表の福岡が担った背番号「11」を着ける。7人制専念で不在となった先輩にスピード、コンタクトで劣るが「嗅覚や、裏のスペースへのキック。自分のカラーは大切にしたい」と自己分析。目標は3年後のW杯だ。

「今後のトップリーグでどれだけ活躍できるかで変わってくる。少しずつ成長して(代表の)ジャージーが似合うようになりたい」

身長175センチ。小さな男の夢は大きい。【松本航】

◆竹山晃暉(たけやま・こうき)1996年(平8)9月25日、栃木・宇都宮市生まれ。3歳で競技を始め、河合二中時代は奈良選抜主将で全国優勝。御所実高1、3年時に花園準優勝。帝京大4年時は副将。ジュニアジャパン、7人制ユース日本代表歴あり。父和彦さんは星鶴王(ほしかくおう)のしこ名で、最高位は幕下22枚目の元大相撲力士。175センチ、84キロ。