【デュッセルドルフ=峯岸佑樹】女子78キロ級で19年世界選手権銀メダルの浜田尚里(29=自衛隊)が、初戦の2回戦から5試合全て一本勝ちで優勝し、初の五輪代表を確実とした。男子90キロ級で19年世界選手権銀メダルの向翔一郎(ALSOK)は3位となり、五輪代表が濃厚となった。女子78キロ超級で五輪代表を逃した18年世界女王の朝比奈沙羅(パーク24)は優勝した。今大会の結果を受け27日の全日本柔道連盟(全柔連)強化委員会で12階級の代表が決まる可能性もある。

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日本が誇る「寝技師」が魅せた。浜田は五輪2大会銅メダルのアギアル(ブラジル)との決勝で、異次元の技術を披露した。“コロコロ戦術”で寝技勝負に持ち込んだ。体を巧みに使い、2度「抑え込み」したが、対処のうまい相手に解かれ、3度目でロックオン。横四方固めで決めた。五輪代表を確実にする1勝で「しぶとく攻撃を続けて取り切れた。まずは結果を出せて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

昨年8月の世界選手権では、不十分な組み手から投げ急ぎ、逆に返され、畳に沈められた。大舞台でも緊張しない強心臓の持ち主で、攻撃性が強すぎるのが課題だった。同11月のGS大阪大会決勝で左膝を負傷。万全の状態でなかったが、背負い投げなどの担ぎ技も披露するなど成長を示した。女子代表の増地克之監督は「強烈な印象を与えてくれた。これまでで一番良いパフォーマンスだった」と絶賛した。

山梨学院大時代には、ロシア発祥の格闘技「サンボ」で世界一に輝いた遅咲きの柔道家。初の夢舞台へ「ここからがスタート。五輪金メダルの目標を達成するため、もっともっと強くなりたい」と貪欲な姿勢で、5カ月後の本番に備える。

◆浜田尚里(はまだ・しょうり)1990年(平2)9月25日、鹿児島県生まれ。10歳で柔道を始める。鹿児島南高-山梨学院大-自衛隊。18年世界選手権優勝。19年世界選手権2位。右組み。得意技は寝技と内股。世界ランキング5位。趣味は旅行。168センチ。

◆柔道の東京五輪代表選考

男女各7階級1人で、選手の準備期間確保を重視した「3段階」による選考で決める。

(1)19年世界選手権優勝者が同11月のGS大阪大会を制し、強化委員会で出席者の3分の2以上の賛成で代表入りが決定。女子78キロ超級の素根輝のみが内定。

(2)同12月のマスターズ大会(中国)、2月のGSパリ大会、GSデュッセルドルフ大会終了時点で、27日に行われる強化委の3分の2以上が1、2番手の差が歴然としていると判断すれば代表選出。

(3)最終選考は4月の全日本選抜体重別選手権で、強化委の過半数の賛成で代表決定する。