決勝は松村千秋(27=中部電力)谷田康真(25=コンサドーレ)組が7-4で藤沢五月(28=ロコ・ソラーレ)山口剛史(35=SC軽井沢ク)組を下し、初出場初優勝を飾った。結成は昨夏で、大会1週間前から本格的な練習を始めた。ぶっつけ本番だったが、お互いの持ち味を発揮して頂点に立った。22年北京オリンピック(五輪)につながる世界選手権(4月、カナダ)に出場する。

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「イェーイ!」。新型コロナウイルス対策のため無観客で開催された会場で、谷田の歓喜の声が響いた。2点リードの最終エンド。先攻松村のショットはハウス中央付近の2個のストーンの間にピタリと止まった。ストーンを密集させて、ラストショットの相手藤沢の複数得点を許さず、逃げ切った。初出場初優勝に谷田は「まさかという感じ」。驚きを隠せなかった。

ぶっつけ本番の「マツタニ」が「フジヤマ」の3連覇を阻止した。今大会は強化委員会推薦枠で出場が決まり、昨夏に結成。谷田が所属するコンサドーレのチームメートの妹で親交のあった松村に声をかけた。本格的な練習は大会1週間前からと短かったが、4人制で昨年の日本選手権を制したトップカーラー同士が地力を出した。当初の目標は決勝トーナメント進出だったが、あれよあれよと予選リーグは6戦全勝で突破した。

パワー&頭脳のバランスの良さが際立った。現在の所属チームでは谷田がセカンド、松村はサードを務めるが、どちらも以前は司令塔のスキップ経験者。普段から鍛えているスイープ力を発揮しつつ、「作戦を考えるのが趣味」という谷田が松村の助言を積極的に取り入れ、2人で戦略を練った。「スイープと作戦。お互いどちらもできるのはアドバンテージ」。開幕前に谷田が口にした狙い通りの戦い方を遂行した。

出場権を得た4月の世界選手権は22年北京五輪への第1関門だ。今年と来年の合計ポイントで上位9チームに入ると五輪出場枠獲得となる。2人とも4人制のチームで今季の世界選手権出場を逃しただけに、思いは強い。「求められるのは結果。そこに向かって準備したい」と谷田。ビョンチャン(平昌)五輪から採用された混合ダブルス。出場に向かって全力を尽くす。【西塚祐司】

▽藤沢 (決勝で敗れ)「相手はすごく上手で感心するばかり。完敗に近かった。私は決めるべきショットをミスしてしまった」

▽山口 (3連覇を逃し)「重圧はなかったけど昨日、今日と緊張する場面はあった。チャンスがあるなら来年も出場したい」

▽吉田知・清水組の吉田知那美(28=ロコ・ソラーレ) (準決勝で敗れた後、3位決定戦に勝利)「一投の差を改めて感じた。悔しい気持ちがある」