スポーツを盛り上げるのは選手だけじゃない! 会場に花を咲かせ、観客と一緒にチームを後押しするチアリーダー。日刊スポーツでは「みちのくチア探訪」と題し、チアリーダーたちの喜怒哀楽を伝えます。第1回はバスケットボールBリーグ2部(B2)の仙台「89ERSチアーズ」。小学校2年生だった04年のチーム創設時から15年間継続してきたRIO(22)の思いに迫る。

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RIOは青春をナイナーズ(89ERS)とともに歩んできた。「周りの大学生や22歳が出来ない経験をしてきた自信はあります。人前にも笑顔で堂々と立てること、人と話したりコミュニケーションをとること、ヘアメークや化粧の仕方も身についた。体を動かすことを含めて楽しくて仕方がありません」。試合だけでなく、イベントなど、すべてのチア人生に胸を張った。

小1から新体操を始めた少女に転機が訪れたのは「仙台89ERSチア募集」の新聞記事だった。両親が習い事感覚で応募。小中時代は新体操のクラブチーム仙台ジュニアとの両立。宮城県で個人優勝する実力だった。高校ではダンス部。だが「1度だけ、辞めたい、踊りたくないと思ったことがありました」。高3に上がるシーズンに編成の年齢制限が設けられ、トップチーム「GOLD」の資格が18歳以上に変わった。

「1年間はトップで活動できない。ずっとやってきたことが否定されたような気持ちになってしまった。プライドを持ってやってきたので受け入れられなかった」。だが、前を向けたのはブースターの声だった。「『RIOちゃんがいなくなったら、私もホームゲーム来ないよ』って言ってくださった方がいたんです。続けられる環境があるのに、もっと成長しないといけないと思えました」。目が覚めた。チームには、常に最年少だったRIOに下級生育成の意識を植え付ける狙いがあったことも後で知った。

今春、仙台市内の大学を卒業する。昨年6月には教育実習や病院実習を行い、保健室の先生の資格も得た。「毎年引退は考えています。後悔のないようにすべてのイベントを全力でやることは意識しています。もしかしたらケガで動けなくなる可能性もある。後輩たちを育てる意識も生まれましたし」。チームは好調でB1昇格も狙える位置につけている。「1つ1つ勝つことや、お客さんの笑顔を見られることが幸せ。子どもからお年寄りまで、誰からも愛されるチームであり続けたい」。食事制限、ジム通い、夜のランニング…。日々、全力を尽くす。【鎌田直秀】