全日本柔道選手権(4月29日=千葉ポートアリーナ)に、五十嵐遼介5段(31=新潟県警察)が初出場する。県警からの出場は初の快挙。8日の北信越予選(富山)で初優勝し、出場権(代表枠2)を手にした。90キロ級の体重を、約1年費やして102キロに増量。パワーアップした31歳の遅咲きが、大舞台の畳に初めて上がる。

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五十嵐5段は背負っているもの、すべてを発奮材料に変える。31歳で初めて獲得した「夢のひとつ」、全日本の出場切符。「県警の代表、新潟県代表だけじゃなく、北信越地区の代表として戦う」と意気込んだ。大舞台初出場の重圧さえも、闘志に変える。「どこまで通用するか。初出場のプレッシャーはあるけれど、楽しみの方が強い」と気迫は充満していた。

全日本初出場へ、大きくシフトチェンジしたのは昨年の北信越予選。初戦敗退がキッカケだった。パワー不足を実感し、普段の体重95キロから、減量知らずの102キロに増やした。同年4月のロシア警察軍隊国際大会(モスクワ=団体戦、3位)出場後に体重増量に着手。筋力を上げながら得意な大外刈りの改良も加えた。振り抜いていた右足を真下に下ろすイメージに変えた「一発で持っていける技」だ。8日の北信越予選でも威力を見せ、初戦は昨年の覇者・北山彰4段(25=石川)に大外刈りで1本勝ち。決勝も昨年2位の沢建志郎4段(25=石川)に大外刈りで1本勝ちした。

全日本初出場に備えて半日練習、半日勤務の態勢を取っている。新型コロナウイルスの影響で遠征と出稽古はできないが、時間を惜しんで猛練習だ。サーキットトレーニングを最初に行い、心肺機能を一気に上げてから対人稽古。打ち込みでは得意な大外刈りは奥えり、前えり、帯をつかんで繰り返す。技の精度が上がれば、持ち技の1つ、捨て身の隅返しも効果的だ。熊倉匠監督(46)は「31歳で初出場した選手はなかなかいない。柔道家の夢舞台。一戦必勝でやってほしい」と期待していた。【涌井幹雄】

◆五十嵐遼介(いからし・りょうすけ)1988年(昭63)7月15日生まれ。阿賀野市(旧安田町)出身。豊栄-東海大。柔道は山手小1年から安田柔道スポ少で開始。高校3年の全国高校総体90キロ級8強。大学1年で全日本ジュニア90キロ級3位。全国警察選手権90キロ級2位(14、17年)。段位は5段。181センチ、102キロ。