青森からやって来た18歳カーラーが新天地で飛躍する。カーリング女子でソチオリンピック(五輪)代表の北海道銀行に新加入した伊藤彩未(18)が2日、札幌市内で初めてチーム練習に加わった。今春、青森高を卒業し、先月中旬に来道したばかり。久々の氷上練習に、笑顔で約2時間汗を流した。名門に加入したホープは「緊張はしたけど、細かいところも教えていただいた。楽しかった」と振り返った。

18年日本選手権にも出場するなど高校世代ではトップの実績。大学進学を考えていたが、昨年11月に北海道銀行がトライアウト実施を発表すると心が決まった。「青森に残って続けようとしていたけど、五輪で金メダルという夢に近づくステップになると思った」。選手とコーチが審査を務めた昨年末の面接や実技審査を突破し、6人の中から1人選ばれた。

父の転勤の関係で移り住んだ青森堤小4年のときに競技を始めると「1投で局面が大きく変わり、勝敗を左右する」と夢中になった。県有数の進学校で学業も必死にこなしながら、ハンドボール部にも所属し、朝から晩まで運動漬けの日々を送った。「氷上のチェス」とも称される競技において頭脳だけじゃなく、集中力や忍耐力も磨いてきた。

北海道銀行は15年を最後に日本選手権優勝から遠ざかり、18年6月には五輪3大会出場の小笠原歩さん(41)が脱退。チームにとって18歳の加入は新たな船出だ。実家に約500体あったリラックマの人形を断捨離し、段ボール1箱分の20体だけ連れて1人暮らしを始めた。「1年目から少しでもチームの力になりたい」。大きな夢の第1歩を北の大地で踏み出した。【浅水友輝】

◆伊藤彩未(いとう・あやみ)2001年(平13)9月3日、札幌市生まれ。日本混合ダブルス選手権出場経験もある母薫さんの影響で、青森堤小4年で競技を開始。日本ジュニアには14、16~19年の4度出場。18年日本選手権、19年日本混合ダブルス選手権出場。小学校ではバスケットボール、中学では陸上も並行。名前は「彩りのある未来になって欲しい」との願いから。趣味は音楽鑑賞とパンづくり。158センチ。家族は両親と兄。血液型はO。