カヌースプリントの照井咲頼(18)が、ハンガリー武者修行で24年パリオリンピック(五輪)を目指す。高校時代にはカヌーと距離スキーで夏冬国体に出場し“水陸二刀流”として活躍。新型コロナウイルスの感染拡大で欧州行きは足踏みも「パリ五輪は第1歩。日本人で一番最初にメダルを取りたい」。先駆者になる覚悟を胸に、出発の日を待つ。

ハンガリーでは08年北京五輪金のアティラ・バイダ氏(37)の指導を受け、五輪選手も所属するクラブチームに加わる。「ハンガリーで修業して(同国選手と)少しずつ勝負できるようになりたい。そこで勝負できたら日本では圧勝できるようになっていると思う」。高校在校中に2度、同クラブに通い、練習内容や雰囲気も把握。すでにクラブには購入したカヌーが届けられており「パドルを持って行けば、すぐに乗れる状況」と苦笑い。現在は北海道和寒町での水上練習開始まで陸上で体を動かしている。

計画は変更したが、この期間にカヌーを運ぶための運転免許の取得や語学の勉強、スポンサー獲得のための企業への問い合わせを続けている。また国内練習用のカヌーをカヤック女子日本代表の小野祐佳(29)から譲り受けるため、4日から3泊4日で秋田に1人で車を走らせ、いつでも渡欧できる準備は済ませた。

2年前の冬、面識がない16年リオデジャネイロ五輪銅の羽根田卓也(32)にSNSで高校卒業後の海外修業について相談し、「行動しろ」と返信を受けて決断した欧州挑戦計画。羽根田が単身渡欧からメダル獲得までに費やした歳月は約10年。照井は「最低でも10年かかるかもしれないけど、(環境が整った)今の時代なので5年。いきなりかもしれないけど、パリでメダルを取りたい」。大志を掲げ、道を開く。【浅水友輝】

◆照井咲頼(てるい・さら)2001年(平13)7月19日、鷹栖町生まれ。鷹栖小2年でカヌーと距離スキーを始めた。南富良野高ではカヌーは総体でカヤックシングル500メートルで1年4位、2年準決勝敗退、3年5位。距離スキーは2年の全道高校5キロクラシカル(C)優勝。鷹栖高転校後の3年は全道高校5キロC、10キロフリーともに3位。家族は両親と姉、兄。実家は農家で米とブルーベリーを栽培。153センチ、53キロ。