バスケットボール女子Wリーグの新潟アルビレックスBBラビッツは13日、チーム最年長のF井上愛(30)が今季限りで引退することを発表した。

井上は12年にBBラビッツに入団。18年には日本代表候補に選出され、17-18年、19-20年と主将を務めた。通算成績は208試合出場、合計1416得点、同916リバウンド。同234アシスト。

BBラビッツの大黒柱がコートを去る。井上は球団を通じて「能力もない私でしたが、たくさんの方々に支えられ素晴らしい経験をさせていただきました」とコメントした。BBラビッツ一筋8季プレー。11年創設のチームで歴代最長の在籍だった。今季はF、CFと外と内のポジションをこなし、2月22日の山梨戦でチームを1168日ぶりのホーム戦勝利に導いた。

ただ、体はぼろぼろだった。負傷を繰り返していたひざや腰が悪化。痛みをこらえてのプレーが続いた。山梨戦での勝利後、「これで今の選手全員がホームでの勝利を味わえた」と一仕事終えた実感を得ていた。

新型コロナウイルスの影響で2月26日でシーズンが打ち切られ、BBラビッツは1勝15敗の12位。3年連続の最下位で終えた。不完全燃焼の結末だったが、「不思議と『あのときああしていれば』という気持ちはない」と選手としては燃え尽きていた。

チームメートからの信頼も厚かった。練習が終わるごとに叱咤(しった)する厳しさとともに、悩む若手には親身になってアドバイス。副主将の北川直美(25)が「井上さんだけに任せてはだめ」と結束を促すなど、チームメートは井上の背中を見ていた。

今後は指導者を目指す。22年に四国で全国高校総体が開催予定で、地元香川はバスケットボール会場。母校・英明高(香川)の監督を務める父晃さん(63)、アシスタントコーチの姉、塩入望さん(33)をサポートする目標がある。「新潟での経験を今後に生かしたい」と話し、「BBラビッツが新潟に勇気を与えられるチームになってほしい」と後輩に思いを託した。【斎藤慎一郎】

◆井上愛(いのうえ・めぐみ)1990年(平2)1月6日生まれ、香川県出身。英明高(香川)では1年からレギュラー。3年間、全国高校総体と全国高校選抜大会に連続出場した。鹿屋体大に進学し、4年連続で全日本大学選手権に出場。12年に新潟に入団。16-17年、17-18年、19-20年とWリーグオールスター戦に出場。17-18年、19-20年は主将を務めた。18年4月、アジア大会の日本代表候補合宿に初参加した。今季成績は12試合出場、69得点、49リバウンド、23アシスト。ポジションはF。172センチ、63キロ。