フィギュアスケート男子で冬季オリンピック(五輪)2連覇の羽生結弦(25=ANA)が17日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて1分32秒のメッセージを寄せた。日本オリンピック委員会(JOC)の公式ツイッターに動画で登場。11年の東日本大震災から立ち直った過去を引き合いに出しながら「真っ暗だからこそ見える光がある」と克服、終息を願った。

緊急事態宣言が全国に広がったタイミングで、羽生からメッセージが届いた。午後2時39分、JOCツイッターに元気なジャージー姿を見せると「つらいことや我慢しなくてはならないこと、制約がたくさんある毎日だと思います」と切り出し、感染拡大防止のため「どうか不要不急の外出を控えて」と協力を求めた。

続けて「未知の物に挑み続けてくださっている方々に、心からの感謝を申し上げます」と医療従事者に頭を下げ「闘病されている皆さま、本当に苦しいと思いますし、想像を絶する恐怖とも闘っていらっしゃると思います」と患者を思いやる。生活苦が続くファンへのねぎらいも忘れず「僕たちアスリートはいつも応援の力を感じ、受け取っていくことで頑張れています。プレッシャーにもなるかもしれませんが、遠くから応援の気持ちを飛ばしていきたい」とエールを送った。

この動画はJOCアスリート委員会が「#いまスポーツにできること」を使命として夏冬の選手にメッセージ発信を呼び掛けたもので、羽生も応じた。仙台市出身らしく、東日本大震災を乗り越えた経験を思い起こし「真っ暗闇なトンネルの中で希望の光を見いだすことは難しいと思います。でも『3・11』の時の夜空のように、真っ暗だからこそ見える光があると信じています」と神妙に語った。

最後に「どうか無理をなさらず、周りにいる方々を信じて頼ってください。皆様が心からの笑顔で語り合える日々が来ることを祈っています」。既に現役続行は明言したが、今は新型コロナ終息への願いを92秒に込めた。【木下淳】