レジェンドがユニホームを脱いだ。バスケットボールBリーグで最年長のレバンガ北海道・折茂武彦(49)が3日、オンラインで引退会見を行った。27年の現役生活を「支えられてここまで来ることができた。やり残したことはたくさんあるが、いいバスケット人生だった」と振り返った。

昨年9月の19-20シーズン開幕前に今季限りでの引退を表明した。今年1月のオールスターでは9度目のMVPにも輝くなど奮闘したが、今季は出場19試合、29得点に終わり、チームは東地区最下位に終わった。新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズン途中で打ち切り。不本意な形での終了となり、周囲から現役続行の期待もあったが「もう1年頑張れば北海道にもスポーツ界にも元気を与えられるかもという思いはあったが、シーズン終わった時に引退だなと思って、しょっていた荷物を降ろしてしまった。その荷物が重すぎて持ち上がらなかった」と心中を語った。

折茂は93年に日本リーグのトヨタ自動車に入社。14シーズンプレーした後、07年に北海道に移籍し、13シーズンを戦った。「北海道に来てくれてありがとう」と言われた言葉が1番記憶に残っているという。トヨタ自動車時代には勝つことだけにこだわっていたが、北海道に来て、支えてくれる人たちのおかげでバスケットができることを学んだ。3月15日の最終戦が無観客となり「初めての経験。ファンの声援は力になっていたんだなと感じた。勝つだけじゃないことを教わった」と当時の心境を明かした。

昨年1月に48歳で前人未到の1万得点を達成するなど、レジェンドとしてチームだけでなく、日本バスケット界に大きな功績をもたらした。11年に所属先がリーグ除名処分を受けた後は、自ら社長に就任。選手としても経営者としてもチームを支えてきた。「今まで苦しい時代から、いろんなたくさんの方に支えていただいたが、コロナで崩れてしまった。僕の仕事はまずチームを建て直すこと」。心残りは北海道での13年間で優勝できなかったことだ。「やり残してしまったなと。自分の実力がなかった」。今後は社長業に専念し、チームを支えながら、やり残した優勝を手に入れる。【松熊洋介】

◆折茂武彦(おりも・たけひこ)1970年(昭45)5月14日、埼玉県上尾市生まれ。埼玉栄高2、3年の総体に出場し、3年時8強&得点王。日大では主将だった4年のインカレで優勝&MVP。93年トヨタ自動車入りし、日本代表初選出。94年アジア大会銅メダル、98、06年世界選手権出場。07年レラカムイ北海道に移籍し、現在はレバンガ北海道の選手兼社長。通算成績は799試合、1万238得点。190センチ、77キロ。