国際スケート連盟(ISU)が11日、フィギュアスケートの20-21年シーズン新採点基準を発表した。

ジャンプの基礎点が改定となり、現在最高難度の4回転ルッツが11・50点から11・00点に下がり、同ループが10・50から11・00点に上がった。11・00点のまま維持されたフリップも加えた計3本の4回転ジャンプが同じ基礎点で並んだ。10年バンクーバー五輪代表の小塚崇彦氏(31)が解説する。

小塚氏は採点の新基準に目を通すと「選手がやらなければならないことの、大局が変わることはないでしょう」と率直な感想を口にした。大きな変更点は男子トップ選手が組み込む、4回転ジャンプの基礎点。今季はルッツ、フリップ、ループの順に0・50点ずつの差があったが、7月からの新シーズンは3つの基礎点が11・00点で統一される。その影響はどう出るのか。

小塚氏 この新基準を踏まえて、選手の取り組みは特に変わらないと思います。ただ、フリーで世界のトップを争う選手が、そろって完璧な演技などをして並んだ場合。その時は羽生(結弦)選手、宇野(昌磨)選手の日本勢が、小さな得点の追い風を受けるかもしれません。究極の勝負は、コンマ何点差で順位が変わることもあります。

基礎点が統一された3種の4回転に着目すると、世界選手権2連覇中のチェン(米国)は、すでにISU公認大会で全てに成功。羽生はルッツとループ、宇野はフリップとループの2種を決めている。だが、チェンも直近の2季はISU公認大会でループを組み込まず、2種で構成してきた。

小塚氏 世界選手権や五輪で、3種全てを組み込むのはリスクがあります。2種での勝負になった場合、日本の2人が用いるループが基礎点で並んだのは大きいでしょう。ただ、勝つために大切なのは、今までと変わらずトータルパッケージ。全てを出し尽くした上で、結果を振り返ると「変更された基礎点が効いた」となる可能性はあります。

新型コロナウイルスの影響で、世界的に練習への制限が出ている。新たな高難度ジャンプの習得など、オフシーズンの計画に狂いが生じることも懸念される。

小塚氏 世界中の選手が技術面で、まずは「維持」を目指すでしょう。「どうトレーニングをするか?」と考えている状況。高難度ジャンプも出来栄え点や、演技構成点の向上につながっていく「質」を高める練習が中心となりそうです。