新型コロナウイルスの影響が続く中、格闘空手の夢源会では「オンライン稽古」を実施している。

岩木秀之代表(49)がオンライン会議システム「Zoom」を使って道場生を指導。今後はオンライン稽古そのものをコースの1つに組み込むなど道場のメインコンテンツに発展させていく考えだ。コロナ後を見据え、苦境をチャンスに変える。

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道着を着用し、道場中央にたたずむ岩木代表。目の前のモニターに小学生の道場生の姿が映る。画面の向こうの1人ひとりの名前を呼んで話しかけた後、ウオーミングアップ、蹴りの動作と稽古メニューを進める。「きちんとガードを固めて」「体の向きを考えて」。すぐそばに道場生がいるように声をかける。

5月に入ってオンライン稽古を始めた。内容は基本動作。1回の参加人数は15人から20人で、時間は道場で行う稽古の半分以下の1時間ほど。「子どもたちからすれば私と1対1。余計な緊張もある。あまり長くはできないです」と稽古時間、内容はオンラインの特長に合わせた。一方、「画像を録画しておくので復習に使える。1週間ごとにうまくなっている子もいます」と成果もあった。

3月下旬に道場を閉鎖した。新潟県は14日に緊急事態宣言が解除されたが、道場を使った稽古再開は未定。岩木代表は「この機にオンライン稽古を充実させたい」と言う。中学生以下の練習生53人を道場再開後は帯の色で4グループに分けて、ローテーションで週2日のオンライン稽古を行う予定にしている。その間に道場稽古を入れる。「移動の手間がないので参加しやすい。組み手は相手がいなければできないが、基本動作はオンラインでもできる」。

神聖な場でもある道場で汗を流すことを当然としてきたが、コロナ禍で発想を転換。通ってもらうのではなく、自宅にいながら稽古することを推進する。そのため、対象は県外にも広げられる。オンラインでの体験入会、パーソナル稽古、また、入院患者を対象に体力維持などに役立ててもらうボランティアの計画も立てている。

閉鎖の間の会費は返納する。オンライン稽古も5月は無料体験期間とした。経営は楽ではない。それでも「やってきたことができなくなったではなく、やっていなかったことができるようになったと考えています」。岩木代表はコロナ後の新しい稽古モデルを頭に描いた。【斎藤慎一郎】

◆岩木秀之(いわき・ひでゆき)1971年(昭46)3月27日生まれ、胎内市出身。中条中では柔道部、村上高では空手部に所属。卒業後、陸上自衛隊に入隊。除隊後、92年に総合格闘技「大道塾」に入門。05年の世界選手権で優勝して現役を引退。14年に夢源会を設立する。