釜石(岩手)空手道部は、昨夏の全国高校総体で男女団体組手アベック出場を果たした先輩たちの背中を追ってきたが、新型コロナウイルスの影響で県総体を含めた中止が決まり夢が消えた。女子は昨冬の東北選抜大会で、団体組手に2位で出場権を獲得していた全国選抜大会中止に続く無念。3年生男女5人は「絶対行ったるインターハイ」と目標が掲げられた道場で、後輩育成とともに自分たちの新たな夢も抱いた。

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男子の岩間雄史主将(3年)は競技生活にピリオドを打つことを決断した。卒業後は消防士になる夢を持つ。幼少期から釜石尾崎神社の秋祭りなどに郷土芸能披露などで参加してきた地元愛。11年の東日本大震災時に路上でたたずんでいたところを地域住民に助けられた感謝の思いもある。「あれがなければ自分は津波に流されていたと思う。ずっと地元に残りたいと思っていた。この世の中なので大会中止は仕方ない気持ちもあったけれど、これを次の世代につながないといけない」。後輩たちに寄り添い続けることも決めた。

釜石小時代から野球少年だったが「新しいスポーツに挑戦したかった。釜石高校で一番強い部活だったので」と空手道の道を選んだ。経験者との差を感じながらも痛みに耐え、今では上段蹴りと中段突きが武器となった。昨冬の東北選抜大会個人組手68キロ以下級で3位となり、全国選抜大会切符を獲得するまでに成長。今後も心技体の強さを釜石に還元する。