八戸工大一(青森)レスリング部は3年生各自の夢へ向けて再発進している。男女6人中ただ1人、大学進学後も競技を続ける吉田珠理主将(3年)は10月の国体(鹿児島・日置市)開催を信じて準備。新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月の全国選抜(新潟)と全国総体(群馬)中止の悔しさを次の舞台への糧とする。

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吉田は国体表彰台と大学進学後の飛躍に挑む。「自分たちの代は経験者が自分1人だけだったのですが、みんなで強くなれてきた。最後に全国上位を目指したかったのでつらいですけれど、みんなのぶんも大学で結果を出したい」。東北5位でつかんだ全国選抜大会学校対抗戦や同3位で得た個人60キロ級、全国総体の目標も失ったことで、仲間の思いも背負って成長する思いも強めた。

一番苦しかった名物練習“ガンペキ”で、体力だけは全国のどこにも負けない自信も得てきた。ウミネコ生息地でも有名な蕪島近くの海岸沿いで400メートルダッシュのインターバル走。真夏でも多い時は10本以上。帰り道の階段でもダッシュや片足上りが続く。次期エースを担う125キロ級東北王者の永野颯大(2年)も「先輩たちの真摯(しんし)に取り組む姿勢や、ひたむきにスパーリングを続けて強くなっていく姿が格好良かったし、勉強になりました」と敬意を表した。

指導するアジア選手権銀メダリスト大館信也監督(39)も「吉田は強みや得意な型がないけれど、2つの東北王者になった世代を追い掛けてきた。ただただ真面目。これからもっともっと伸びます」とお墨付き。八戸クラブ時代を含めて五輪4連覇・伊調馨(35)の指導も経験した吉田の日本一挑戦は、まだまだ続く。