新潟県高体連は、新型コロナウイルスの影響で中止になった全国高校総体(インターハイ)に伴い、県高校総体も中止になったことで、代替大会の開催実施について各競技の専門部に開催可否の意向を調査している。6月中旬をめどに集約を進めるが、競技ごとのスタンスも徐々に明らかになっている。インターハイで上位入賞者を輩出してきたボクシングは県高体連の指針に沿った代替大会はできないと判断。11月または来年1月に成果を披露する場を設ける方向で各校の3年生にアンケートを取るなど、独自の策を模索している。

県立校の授業が再開された1日、県高体連ボクシング専門委員長で新潟向陽ボクシング部の佐藤雄高監督(45)は2、3年生部員全14人を練習場に集めた。今後の取り組みの心構えを説いた後、3年生部員7人にA4サイズの用紙を配布した。内容は「県総体代替策についての意向調査」。<1>11月3日にスパーリング形式での実施を希望<2>(来年)1月9日から11日実施予定の新潟県新人大会での3年生の部への参加を希望<3>代替大会実施を望まない-アンケート対象は選手登録をしている県内全ての高校3年生選手。この3項目からの選択と意見、要望の記入欄を設けた。

「それぞれの考えで決めてほしい」。佐藤監督はそう前置きし「俺の個人的な気持ちとしては最後にみんなで一生懸命、ボクシングをして締めくくりたい」と胸の内を明かした。県から示された部活動の再開日は8日。アンケートの回収時期は中旬。部員は今後を思案しながらの始動になる。

5月22日の県高体連臨時実行委員会で各競技専門部に県総体代替大会開催の検討依頼があった。同29日には具体的な実施可否の意向調査が始まった。ボクシングの判断は「否」。臨時実行委員会で示された基準の中に、部活動再開から8月末までの実施があった。「競技の特性上、この日程で開催はできないです」。開志学園監督で県連盟の仁多見史隆副理事長(45)は言う。

新型コロナウイルス感染防止と試合の安全な実施のため、日本ボクシング連盟から大会出場に向けた順守事項が示されている。おおむね2カ月以上の練習期間の確保や体力、気力、技術の維持と向上ができる練習内容の確保など。さらに県から競技別に出された練習時の注意事項としてボクシングについてはスパーリングなど対人形式の自粛を要請された。「試合開催までの練習期間はぎりぎり。実戦形式ができないとなれば、選手の安全は確保できません。そうでなくても長期の部活休止で選手の運動機能や感覚は低下している」。仁多見副理事長は開催断念の理由を話した。

一方で3年生の意向を聞き入れることも各校指導者間で話し合った。「練習の成果を見せる場を設けたいというのが各校の指導者の共通した思いです。まず3年生がどうしたいかを聞き取り、自分たちの中でできることをやりたい」と仁多見副理事長。

佐藤監督は言う。「この先、ボクシングをすることはない子がほとんどなんです。試合に向けた練習を精いっぱいやって終わらせてあげたい」。現実を踏まえながら、区切りの場を求めて模索が続く。【斎藤慎一郎】

<これまでの経過>

◆4月26日 全国高校体育連盟が全国高校総体の中止を決定。

◆4月28日 新潟県高体連が県総体、北信越総体中止を発表。萩生田光一・文科相が各都道府県で「文科大臣杯」のような代替大会開催の希望を述べる。

◆5月22日 新潟県高体連臨時実行委員会で、県総体の代替大会開催の検討を各競技専門部に依頼。

◆5月29日 新潟県高体連が各競技専門部に対して代替大会実施の可否の意向調査を開始。