全国高校ラグビー大会に4年連続出場中の報徳学園(兵庫)が7日、再始動後、初めて3学年そろっての練習を行った。

新型コロナウイルスの影響で約2カ月間、グラウンドでの練習は中止。6月4日から兵庫・西宮市の同校で練習が再開となったが、平日は分散登校だった。

この日は3学年が顔をそろえ、西條裕朗監督(57)は「しんどさに負けて気が緩む時に、しっかりと(感染対策ルールに従って)やるべきことをやっていこう」と教え子たちへ呼びかけた。

給水は、個人のボトルや水筒を使用するなど対策を実施。共用だった従来と勝手が違うが、選手は呼びかけ合いながら汗を流した。近畿圏では6月1日から練習を再開している学校もあり、大阪の強豪校などは15日から再開を予定。活気の戻ったグラウンドで、CTB竹ノ内堅人主将(3年)は素直な思いを口にした。

「ラグビーができる幸せを感じます。花園があることを願って、全員でやっていきます」

本年度で第100回を迎える全国高校大会は、12月に開幕を予定。新型コロナウイルス第2波への不安もあるが、竹ノ内には聖地に特別な思いがある。

昨年12月30日の2回戦国学院栃木戦。初戦の山形中央戦で大会最多162得点と波に乗っていたが、12-14でBシードに跳ね返された。1年時から主力で花園8強を経験した竹ノ内は、2点を追う後半残り10秒で痛恨のミス。相手陣で防御ラインを突破しながら、ノックオンで好機を逸した。

「あのミスは一生忘れません。今、練習が再開して楽しい気持ちがあるけれど、時間がないことも分かっている。焦る気持ちも下級生に伝えていって、練習の質を求めたい。今年はエースがいない。1人1人がリーダーになり、冬に向けてやっていきます」

自宅待機期間中は連日、約1時間のオンライントレーニングを実施。小グループを活用して意見交換を行うなど、1年生との相互理解を図った。

西條監督は「ノートに『(日常が)当たり前じゃないって分かった』と書いている生徒も多かった。感染者を出さないことを考えながら『ちょっとずつ』です」。兵庫の名門は、置かれた環境で最善を尽くしていく。【松本航】

◆報徳学園ラグビー部 1952年(昭27)創部。前田豊彦初代監督(故人)が全国常連校へと土台を築き、花園出場45回。最高は4強。主なOBは大東和美氏(日本スポーツ振興センター理事長)、田中澄憲氏(明大監督)、SH日和佐篤(神戸製鋼)、CTB梶村祐介(サントリー)ら。