練習再開に自然と笑みがこぼれる。「疲れましたよ!」。バレーボールVリーグ男子2部サフィルヴァ北海道の青島賢司主将(32)は、2時間半の練習を終えて、開口一番に言い放った。その言葉と裏腹に、額に汗した顔には充実感が広がっていた。7勝8敗でリーグ3位で終えた2月16日ホーム最終戦から約4カ月。バレーボールができる喜びをかみしめた。

新型コロナウイルスの影響を受ける教育現場でも、現役教師として奮闘する。今春から札幌福移小に異動。3年のクラス担任としてコロナ禍の中で生徒と向き合う。「音楽でも歌えないし、鍵盤ハーモニカもできない。体育の授業でもサッカーとかバスケの密集はいいのか」と頭を悩ませる。「もし自分の学校から感染者が出たら…」。休み時間の遊びにも目を光らせ、気が休まる暇はない。

教員をしながら競技を続け、主将を務める。5年以内の1部昇格を目指し今季から3部リーグに参入したチームの大黒柱。リーグ戦前には「両立が難しい、中途半端になりたくない」と、それまで続けていた少年団の指導から離れた。それでも最終戦には前任校の生徒3人がこっそりと来場。「試合翌日には『先生ってアオケンって呼ばれているんだね』って言われました」。陰ながら応援する子どもたちが力の源だ。

2部に上がる来季に向けて「個もチームもレベルアップしないといけない。スポーツを通して明るい話題を提供していくことがプロスポーツチームとしての社会的な使命」。教壇にも、コートにも、命がけで立ち続ける。【浅水友輝】

◆青島賢司(あおしま・けんじ)1988年(昭63)7月28日、札幌市生まれ。札幌厚別北小で競技を始め、札幌藻岩高時代は総体、春高ともに道予選ベスト4が最高。サフィルヴァ北海道では主将を務め、4月からはオンラインサロン「サロンあおけん」を開設。ポジションはアウトサイドヒッター。178センチ、66キロ。最高到達点は309センチ。