ノルディックスキー・ジャンプ男子の小林陵侑(23=土屋ホーム)が16日、札幌・宮の森ジャンプ競技場での今季初の練習を行った。新型コロナウイルスの影響で結果的に最終戦となった、3月11日W杯個人第28戦の予選以来となる本格的なジャンプ練習に「楽しい」と笑顔。自粛期間をへて、競技ができる喜びや思いを感じ、22年北京五輪のプレシーズンへの準備を開始した。

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約3カ月ぶりのジャンプでも、自粛期間に満足のいくトレーニングができていなくても、小林陵には関係なかった。初飛びからK点90メートルを超えた。先週から荒井山(HS62メートル、K点55メートルほか)の小さなジャンプ台で肩慣らしし、この日はノーマルヒル。「楽しいですね、やっぱり大きい台は。感じは悪くないですね」とうれしそうだった。

昨季はW杯転戦中の3月に、個人戦2戦とフライング世界選手権(スロベニア・プラニツァ)を残して、シーズンが終わった。「(残りの試合を)やったらいいところまで行ったんですけどね。フライングも飛びたかった。でもしょうがないですね」。13勝を挙げ総合優勝した前シーズンと比べると苦しんだが、それでも3勝で総合3位につけていた。「納得できないところだらけだったけど、もう覚えてないです」と、すでに気持ちを切り替えている。

コロナ禍での自粛期間は筋トレに励んでも「何のために練習してるのかってなりかねない」と、士気が上がらなかった。今月から使用可能になった競技場は、感染対策などで制限はまだあるが、自宅で過ごした日々を思い出せば、「飛べるだけいい」と楽しむ。

最近、自宅では観葉植物を育て始めた。「緑を欲していた。あとは枯らさないようにするだけ」と愛でている。シーズンへ向け、徐々に状態を上げていく。「まだ冬まで遠いですけど、またW杯1勝を目指してやっていきたい」。この日のジャンプ練習は、五輪前年を戦うための自身への水やりとなった。【保坂果那】