国際スケート連盟(ISU)は18日、2020-21年シーズンから適用する予定だったフィギュアスケートの新たなジャンプ基礎点など、新規定の導入を保留すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響でアイスリンクと練習の再開が遅れていることに配慮した、としている。

先月11日に改定が発表されていた新基準では、4回転ルッツの基礎点が11・50点から11・00点に下がり、4回転ループが10・50点から11・00点に上がった。もともと11・00点だった4回転フリップは維持され、成功例がある現在の難易度トップ3のジャンプが同じ基礎点で並ぶことになっていた。3回転も、ルッツが5・90点から0・60ポイント下がってフリップと同じ5・30点に変わっていた。

この改定について、ISUのファビオ・ビアンケッティ技術委員長(イタリア)は当時、こう解説していた。

「シーズン中に行っていた調査で、3回転フリップと3回転ルッツの難易度は全く同じであると考えられた。(2つのジャンプを比較し)跳ぶ技術も準備の仕方も同じ。一方が難しいという基準は非常に主観的だし、そもそも、スケーターの体に依存する」

「1回転と2回転のルッツはそれと異なり、2回転まではフリップよりは少しルッツの方が難しい。よって1回転と2回転の基礎点は変更しない。ただ、これが3回転、4回転になってくると違いはなくなる」

「統計を見れば、4回転ループが最も難しいジャンプである可能性が高い。ただ、これもスケーターの体に依存する。(ISU技術委で)議論した結果、3本の4回転ジャンプの基礎点を同じ値にすることを決めた」

この結果、18-19年シーズンに続いてジャンプの基礎点が変更されることになったが、発表後1カ月で保留となった。

4回転ループは、冬季五輪2連覇の羽生結弦(25=ANA)が16年9月に世界で初成功したジャンプ。まだ誰も跳んだことがない4回転半(クワッドアクセル)を除けば4回転ジャンプで最も成功順が遅く、難易度の高さを物語っていた。