コロナのあおりを受け、空手道場から「気合」の叫び声が消えた。全日本空手道連盟は22日、公式サイトに感染拡大防止ガイドラインを掲載。

稽古中や大会中の飛沫(ひまつ)感染を防ぐため、組手や形で技を繰り出す時などに発する「気合」をなくすことを検討するよう求めた。形では、演武直前に形名を審判に告げる行為を必ずしも必要としないこととした。

競技規定として、組手の得点基準の1つに「気力」がある。選手は大声を張り上げながら技を仕掛ける。形を演武する際も、気迫に満ちた声は不可欠だ。しかしガイドラインでは、こうした声出しは飛沫感染につながりかねないとしている。都内でジュニア世代を指導する道場経営者は、「心の中で声を出しなさい、と伝えている」。静まりかえった道場に、足裏で畳をこする音や、着地の衝撃音が響く。

東京五輪出場が内定している選手たちは現在、代表合宿を行うめどが立っていない。それぞれの稽古場がある地域の状況に応じて、ガイドラインに沿いながら個別練習に励んでいる。

別団体にあたる日本空手協会では、5月に発表したガイドラインで、道場の床のぞうきんがけはウイルス吸入の危険性があり、控えるよう呼びかけた。1日の稽古の締めくくりなどに行うぞうきんがけは、感謝の気持ちが込められているのと同時に、下半身強化につながる空手独自の鍛錬方法。しかしコロナ禍のもとでは、床の清掃にはモップがけが励行されている。【奥岡幹浩】