新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月に開催予定だったリードジャパンカップが無観客で開幕した。

国内大会が行われるのは2月以来。日本山岳・スポーツクライミング協会は、徹底したコロナ対策を施し、感染予防に努めた。 国内唯一の「感染者ゼロ」が続いていた岩手県で失敗は絶対に許されない-。同協会は、万全な態勢で今大会に臨んだ。日程は例年より1日多い3日間に変更し、無観客で実施。会場はBGMや応援のかけ声「ガンバ!!」すら聞こえない。沈黙の中、激しい雨音のみが“BGM”となり、淡々と競技が行われた。

雨の影響で約30分に1回はホールド(突起物)の一部に貯まった水分を抜く作業が施され、予定より約2時間遅く終了した。

同協会幹部は「このコロナ禍で東京のメディアを岩手に呼んで大会を開催する以上、感染者を絶対に出すわけにはいかない」と、警戒心をあらわにした。

選手は体温測定のほか、感染予防のためこれまで協会が準備していたロープを自前で持参。試合後の囲み取材も、メディアと選手の距離を7メートル以上離し、マイクを使って“屋外記者会見”にする徹底ぶりだった。

首位通過した東京五輪代表の楢崎智亜(24=TEAM au)は「普段とは違ったが、トライする際は集中して自分らしくいけた。自粛期間で自身と向き合う時間が増えて、こういったことも受け入れられるようになった」。原田海(21=日新火災)は「これまでとは雰囲気が違い、大会っぽくない感じがした」と率直に語った。

楢崎智ら26人は10日の準決勝に進出。女子予選も10日、男女決勝は11日に行われる。