女子テニスで、2度の4大大会優勝を誇る大坂なおみ(22=日清食品)が、28日(日本時間29日)に行われる全米前哨戦ウエスタン・アンド・サザン・オープン準決勝でプレーすることを決めた。米ウィスコンシン州で起きた警官の黒人男性銃撃事件に抗議し、いったんは棄権を公表。しかし、大会が抗議に賛同し、1日休止にしたため、女子テニス協会(WTA)、米国テニス協会(USTA)などと協議の結果、出場を決めた。また、31日開幕の全米オープン(ニューヨーク)1回戦で、同78位の土居美咲(29)との日本女子対決が決まった。

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あまりにもめまぐるしい展開だった。準々決勝で同20位のコンタベイト(エストニア)に勝ったのが、現地26日の午後3時すぎ。オンライン会見を午後4時半からこなし、自身のSNSに抗議の声明文を掲載し、棄権を明かしたのが午後8時半過ぎだった。そこで、一気に大坂の勇気ある行動に注目が集まった。

その深夜に、大会も即行で動いた。ツアーを管轄する男子のプロテニス協会(ATP)、女子のWTAに、主催のUSTAが加わり、3団体が共同で声明を出した。「テニス界は一致団結して人種差別に抗議する」と、黒人男性銃撃事件への抗議の意思として、27日の全試合中止を決めた。

自らの行動に賛同した大会の素早い抗議行動が、大坂の心を動かす。大坂は、WTA、USTAと27日に話し合いを持った。その結果、同日の昼に棄権することを撤回した。大坂はマネジメント会社を通じて、その胸の内を明かしている。

「私は、昨日(26日)、人種差別と警察暴力の連鎖に抗議し、大会から去ることを決めました。準決勝を戦わない覚悟も準備もできていました。しかし、WTAとUSTAと話し合い、金曜日(28日)にプレーすることを決めました。大会は、すべての試合を一時休止することを決断。それが、この抗議にたくさんの注目を集めることになると思います。WTAと大会のサポートに感謝したいと思います」。

大坂は、準決勝に戻ってくる。対戦相手は同22位のメルテンス(ベルギー)だ。対戦成績は1勝1敗。昨年の東レ・パンパシフィック準決勝でストレート勝ちしている。WTAは、大会を休止した27日について「テニス界にとって、多くのことを考える、とても大事な日でした」と、大坂の抗議をたたえた。