白血病から再起を目指す競泳女子の池江璃花子（20＝ルネサンス）が、涙の復帰を飾った。

昨年1月13日以来594日ぶりのレースで自身が日本記録24秒21を持つ女子50メートル自由形の5組に登場。26秒32で同組1着、全体の5位に入って涙を流した。目標だった日本学生選手権（10月、東京辰巳国際水泳場）の参加標準記録26秒86も突破。24年パリ五輪に向けて「第2の自分の水泳人生の始まり」と宣言した。

　　　◇　　　◇　　　◇

西崎コーチは、今大会で池江が復帰したことについて「練習のタイムを見て、今回は『本人がやりたい』と言った。『私も頑張るか』と決断しました。体調が万全ではない、コロナ禍もある。いろんなご意見が出るのは重々承知なのですが、池江選手がつかみ取った第2のチャンス。その意思を尊重することを第一にした」と理由を説明した。

池江は昨年12月に退院した。一般的に白血病を患って退院後を過ごす場合、一定期間は車いすを使うことが多いという。7月にプロ野球広島OBの北別府学氏が退院したように。ただ池江はそのケースにはあたらなかった。3月のプール練習も、医師の了解をとった上で、再開している。

池江はこの日、海外合宿で交流した世界のトップ選手について「またいつかそういう選手たちと一緒に練習できたらいい」と言った。20歳は、日本学生選手権、海外スイマーとの交流、パリ五輪でのメダル獲得と夢を広げていく。西崎コーチは「難しいかなと思ったら私も止める」。池江が思い描く夢が、再起への原動力になるならば、その意思を尊重することも回復の一助になるのかもしれない。