2度の4大大会優勝を誇る世界9位の大坂なおみ(22=日清食品)が、全米としては26年ぶりの日本女子対決を制した。

同81位の土居美咲(29=ミキハウス)に6-2、5-7、6-2のフルセットで勝ち、5年連続で初戦を突破。前哨戦で左太ももを痛めたが、何とか間に合った。2回戦では、同74位のカミラ・ジョルジ(イタリア)と対戦する。

サーブとリターンで、大坂は少し力をセーブした。サーブは痛めている左足が軸となり、リターンでも膝の曲げ具合を減らした。ショットをネットにかけるミスが目立ち、第2セットこそ落としたが「1回戦はいつも大変。でも落ち着いてできた」。向かってきた土居を振り切った。

左足にテーピングはなかった。「だいぶ回復している」。前日の30日は「少しだけ(コートで)打ったが、(足は)あまり動かなかった」。この日は「思ったよりも良かったが、途中からやや悪くなった」。不安を持ちながらも、集中力を保ち、最後まで戦った。

全米に限れば、日本女子対決は26年ぶり。また、日本女子がシングルスで4大大会のセンターコートで戦ったのは史上初の快挙だ。新型コロナウイルス対策で無観客だったが、録画されたファンが声援するリモート応援などがあり、「空っぽなんて感じなかった。エネルギーをもらった」。

次戦は強打を誇るジョルジが相手だ。過去の対戦は1度。18年の東レ・パンパシフィック準決勝で勝っており、「強打の選手は好き。とても楽しみ」と自信を見せる。3回戦の対戦が予想された天才少女、16歳のガウフ(米国)は敗れた。全豪で敗れたリベンジの機会は持ち越されたが、先が少しだけ開けた。

会場の観客席には「Black Lives Matter(黒人の命も大事だ)」の大きな幕が張られた。大坂も、犠牲になった黒人女性の名前が入ったマスクをつけた。「マスクは7種類用意している。全部、見せたい」。7試合を戦うとは、つまり決勝進出を意味している。

○…センターコートに登場した大坂は「BREONNA TAYLOR(ブリアンナ・テーラー)」の名前がプリントされた真っ黒いマスクをつけていた。3月にケンタッキー州で、寝ていたところを警官に踏み込まれ、射殺された黒人女性の名前だ。「あまり知られていない。だから、世界中に知らせたいと思った」。大坂の人種差別への抗議の意志は強い。

◆全米オープンテニスは、8月31日から、WOWOWで連日独占生中継。また、WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信予定。