19年ラグビーW杯で日本代表の8強入りに貢献し、フランス1部リーグの強豪クレルモンに移籍したFB松島幸太朗(27)が6日(日本時間7日)、開幕初戦のトゥールーズ戦で新天地デビューを果たした。

本拠地のクレルモンフェランで、背番号「15」を背負って先発出場。前半16分に右太ももを痛めて途中交代したが、見せ場を作るなど存在感を示した。試合は2人の退場者を出した相手に一時は逆転を許すも、33-30で勝利した。

松島は観客約1万人が見守る中、開始早々から軽快な動きで攻撃をけん引した。W杯で優勝した南アフリカ代表のWTBコルビらを擁する名門に対してキックを駆使し、前半7分の先制PGの起点となる約30メートルの突破も見せた。その後、相手と衝突時に右太ももを負傷して交代した。

わずか16分間のほろ苦いデビューとなったが「良い形で試合に入れた。お客さんも熱狂的な応援で、やっているこっちも楽しい。個人のスタートとしてはすごく良い形で試合に入れた。けがするまでは完璧にできた」と満足げに振り返った。アマゼ監督も「負傷はそれほど深刻ではなく、早期復帰を願っている。彼の実力を分かっているだけにもっと見たかった」と本音を漏らした。

コロナ禍の影響で7月中旬にチームへ合流。激しい接触プレーが特徴のリーグで戦い抜くために筋力トレーニングで体重を5キロ増加させ、持ち味の走れる肉体をさらに進化させた。次戦は12日のバイヨンヌ戦。異国での信頼を勝ち取るため、27歳のスピードスターの挑戦は始まったばかりだ。

◆松島幸太朗(まつしま・こうたろう)1993年(平5)2月26日、南アフリカ生まれ。神奈川・桐蔭学園高-SRシャークス(南ア)下部組織-サントリー。SRには15年ワラタス、16年レベルズ、17~18年サンウルブズに所属。19年W杯では全5試合で5トライを挙げた。代表39キャップ。父がジンバブエ人。178センチ、88キロ。

◆トップ14 1892年に発足したフランス1部のプロリーグ。英国のプレミアシップラグビー、南半球の強豪が集うスーパーラグビーと並ぶ世界最高峰リーグの1つ。毎年9月から翌年6月に開催され、14チームが総当たりのホームアンドアウェー方式で戦った後、上位6チームでプレーオフを行う。年間観客動員数は世界最大級の約270万人で、売上高は約500億円を誇る。選手への報酬も高額で元ニュージーランド代表のSOダン・カーターらも在籍していた。