文部科学省は11日、今月末で任期満了を迎えるスポーツ庁の鈴木大地長官(53)の後任に、04年アテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダリストの室伏広治氏(45)を起用する人事を発表した。2代続けて五輪金メダリストが起用される。任期は10月1日から2年。最長で5年まで再任が可能。

室伏氏は長官としての抱負を聞かれ「(コロナ下の)こういう時期でも感動を生むスポーツ界にしていきたい」と答えた。ハンマー投げの重さ7キロある鉄球になぞらえ「長官の責任はそれ以上か」と問われ「はるかに重い」と、笑った。

会見中、繰り返し強調した「スポーツと感動」という言葉の裏付けとして「健全、フェア、アンチドーピング」を掲げた。鈴木長官の任期中はスポーツ界で不祥事が多発したため、各競技団体が順守すべき基準となる「スポーツガバナンス(組織統治)コード」を策定し、本年度から運用を始めた。室伏氏はこれらも引き継ぎ、健全性を維持する使命も課せられる。

これまで東京五輪組織委員会のスポーツディレクターを務めてきた経験も生かし、大会成功に向けて尽力することも誓った。今後は、組織委の職や日本オリンピック委員会理事などの役職は退き、長官職に専念する。【三須一紀】