男子カヤックフォア(K4)500メートルで東京五輪(オリンピック)代表に内定している水本圭治(チョープロ)、松下桃太郎(自衛隊)、宮田悠佑(和歌山県教育センター学びの丘)、藤嶋大規(自衛隊)の4人乗りチームが“独走”を披露した。非公式なタイムトライアルとして1艇だけでコースを疾走し、横風を受けながらも1分23秒881をマーク。水本は「緊張感を保ちながら、自分たちの思うようなレースができた」とうなずいた。

コロナ禍での日本選手権。感染拡大を防ぐためエントリーは1人2種目までに制限されたこともあり、K4に参加したのは1艇のみ。本来なら3艇に満たない場合、その種目は実施されないが、五輪代表に内定している4人の勇姿を多くの人に見てもらう意味も込め、主催者側は特別レースを用意した。対戦相手不在という特殊な条件となったが、松下は「練習のときから試合をイメージしながらやってきた。普段も1艇でやっている。今日も全力でこげた」。

感染症拡大の影響で、しばらくは個々でトレーニングをする日が続いた。ようやく4人乗りの練習を行えるようになったのは7月半ばからで、現在は状態を上げつつある段階。十分な練習が積めているとは言えないなかでも、松下は「意外に(呼吸が)すごく合った。そろっている感じがあった」と手応えを口にした。藤嶋も「大きな部分はとくに修正するところはない。あとは細かいところを直していければ」と話す。

コロナ禍で英国からの再来日が遅れていたニコノロフ・コーチも、今月下旬に入国するめどが立った。ロンドンとリオの両五輪で金メダリストを育てた名将から、再び直接指導を受けられるようになる日は近い。東京五輪に向けて宮田は、「日々の練習を大事にして、1つでも上の順位を取れるように頑張る」。年内の実戦はこれが最初で最後。1年後に向けてじっくり個々の実力を上げ、4人の団結力を深めていく。【奥岡幹浩】