大坂なおみに負けられない! 世界35位で日本のエース、錦織圭(30=日清食品)が復帰2戦目で383日ぶりの勝利を飾った。

同44位のアルベルト・ラモス(スペイン)に6-4、7-6の2時間3分でストレート勝ち。19年全米2回戦以来の世界ツアー公式戦勝利となった。2回戦では同17位のバブリンカ(スイス)-同249位のムセッティ(イタリア)の勝者と対戦する。

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383日ぶりの勝利は、少してこずった。マッチポイントを数えること6本目。5本を逃し続けたが、最後は錦織のバックのリターンがネットイン。ポトリと相手のコートに落ち、あっけない幕切れでも「勝った瞬間はうれしかった」と、久々の勝利を喜んだ。

09年右ひじ、17年右手首のけがで、過去2回の長期離脱は下部大会というレベルの差はあるが、復帰2戦目で必ず勝ち星を挙げた。「前回の時も、2、3戦目ぐらいから自然と良くなった」。だから「ちょっとほっとした」と、安堵(あんど)の表情を見せた。

ミルヌイ新コーチと、新たな武器としてネットプレーを磨いてきた。赤土は球足が遅くラリーが続く。ネットの短期決戦には不向きだが、錦織はこの日、14回ネットに出て、12回成功させた。「もっと出るチャンスがあった」と悔やむが、力が入りづらく最難関のバックのハイボレーでも点を奪った。

右手首のけがから18年に復帰したときも、赤土シーズンに入り、モンテカルロで準優勝した。全米のハードコートではなく、赤土での復帰に「リズムもつかみやすい。復帰して自分のテニスを戻すのに近道かも」と、逆に復帰延期が幸いしたようだ。

全米で大坂が優勝した。所属契約が同じ企業だ。優勝後には、力こぶを自身のSNSに投稿し祝った。「女子で(大坂に)打ち勝てる人はいない。単純にすごい」。自身も世界4位になったため、「あの位置にいないと見えないものがある」と懐かしがった。負けてはいられない。必ず、この勝利からそこに戻る。

◆錦織復帰メモ 右ひじのけがで19年8月の全米を最後にツアーから離脱。同10月に内視鏡手術を受け、20年3月まで日本でリハビリと練習を行った。復帰を目指したが、新型コロナで3月に世界ツアーが中断。8月に再開したが、錦織自身が新型コロナに感染。全米前哨戦、全米を欠場し、先週のオーストリアのツアー大会で復帰した。