第100回の全国高校大会へ向けた大阪府予選が開幕し、花園7度の優勝を誇る常翔啓光学園(前啓光学園)が2年ぶりの単独チームで初戦突破を果たした。

前半キックオフで敵陣に入り、相手キックのチャージなどで主導権をつかんだ。14分には連続攻撃から先制トライ。インターセプトなども絡めて、21-0で前半を折り返した。後半は劣勢となる場面もあったが、危なげなく勝利。フッカー山本敏正主将(3年)は「(前日26日に)ロイヤルブルーのジャージーをもらう時に、むちゃくちゃ緊張しました。この雰囲気を知り、課題も見つけられた。チャレンジャーの気持ちを忘れずにいきたい」と笑顔を見せた。

2年前の秋に3年生が引退し、当時の2年生5人が退部を決断。1年生(現3年)6人だけが残り、合同チームも経験した。今春に1年生9人が入部し、やっとの思いでつかんだ単独チームでの出場。山本が「花園での(01年度から)4連覇も、その時期に生まれたので、入学後まで知らなかった。入ってから『伝統あるラグビー部だ』と思いました」と語るなど、過去の栄光は遠いものになった。

就任8年目でOBの川村圭希監督(38)は前夜眠れなかったといい、この日は朝から験担ぎでカツ丼を食べて試合会場に向かった。

「単独になって1発目。あのジャージーを着て、負けるわけにはいかなかった。(無観客開催だったが)目が肥えたオールドファンの方が見ても『啓光がやっていたラグビーをしてるね』と言ってくれると思う」

準々決勝は10月18日の浪速戦。伝統のロイヤルブルーのジャージーを着た選手20人が、新たな歴史をつくっていく。【松本航】