勝利への「嗅覚」を研ぎ澄ます。バスケットボールBリーグ・レバンガ北海道の宮永雄太監督(39)は、クラブ10年目のシーズンに就任した。初の道産子指揮官は初陣へ「選手の表情、言動を感じ取る嗅覚を大事に戦いたい」と意気込みを語った。チームは1日、札幌市内で3日の20-21シーズン開幕初戦、名古屋D戦(愛知・ドルフィンズアリーナ)に向けた練習を公開した。【取材・構成=永野高輔】

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-アシスタントコーチの経験はあるが、監督としては初のシーズンになる

宮永監督 ヘッドコーチ(監督)になって試合の見方が変わった。アシスタントコーチは分析作業をするので、相手がどういうプレーをしているかということに目がいく。ヘッドコーチは、自分たちの選手がどういう動きをしているかに重きを置く。相手より自分たちにフォーカスし、瞬時に状況に応じた指示を選手に出すことが不可欠。流れ、雰囲気を察知し、先を読んだ指示が必要だと感じた。

-指導者として軸にしていていることは

宮永監督 徹底すること。折茂(武彦)社長から「思い通りにやってくれ。とにかくブレずにやってくれ」と言われた。それが激しい守備の部分でもある。レバンガはこれだ、というものを貫き、1年成長していくことが自分のポリシー。60試合、うまくいくときもいかないときもある。ただ、シーズン最後に、これを徹底してきたからここまで来られたんだというプロセスを、踏んでいきたい。

-選手起用や采配の上で重視することは

宮永監督 それは「嗅覚」。選手の表情や息遣い、しぐさ、言動など、そういうものを感じられるようにしたい。バスケットボールは数字を見てフィードバックすることが多くなるが、数字にあらわれないところを、しっかりかぎ分けられるようにしていきたい。

-プレシーズンゲームは2勝2敗。開幕に向けて手応えは

宮永監督 7月から日本人選手がしっかりハードワークし、いい準備ができた。プレシーズンゲームでは、目指す激しい守備の部分で、できていた部分と、うまくできていない時間帯もあった。そこはしっかり分析して修正したい。開幕がすべてではない。年間通していいものを出すための、いい1歩となるようにしたい。アウェーが4試合続くが、しっかり勝利を取ってホームにつなげたい。

-ウィリアムズ、メイヨが合流。プレシーズンゲームを通した新外国籍選手の動きについては

宮永監督 最初の越谷戦に比べ三遠戦では、より連動性が出てきた。これからが楽しみ。日本人選手は7月から守備を徹底してきたが、彼らはまだ時間が短い。ゲームをこなしながら成長していけるように取り組み、チーム全員が守備の強度を保てるようにしたい。

-節目の10年目を、どのように盛り上げたいか

宮永監督 クラブのスタートが「明日のガンバレを届けよう」。その原点に戻れるように。激しい守備を見ている方に感じてもらえるような戦いをしたい。

-札幌のファンと再会した印象は

宮永監督 コロナ禍で人数制限した中だったが、変わらず優しさや温かさを感じた。少しでもたくさんの方々に、会場に来てもらえたら。最後まであきらめない姿勢、ディフェンスでのエナジーを感じてほしい。

-目指す場所は

宮永監督 東地区から自力プレーオフ進出、そして、Bリーグでまだ果たせていない、シーズン30勝を達成したい。