20年ユースオリンピック(五輪)金メダルの鍵山優真(17=星槎国際高横浜2年)が、シニアデビュー戦で驚異的スコアをたたき出した。国際スケート連盟(ISU)非公認ながら、現行ルールの自己ベスト記録ランキングで世界5位相当となるフリー188・75点、総合287・21点をマークした。前日のショートプログラム(SP)では同9位に当たる98・46点を稼ぐ完全の初優勝だった。次戦は11月に東日本選手権(山梨)に出場する。

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鍵山がシニア1年目の初陣を派手に飾った。2日連続でほぼノーミスの演技をそろえると、世界歴代5位相当のハイスコア。非公認ながらネーサン・チェン、羽生結弦、ビンセント・ジョウ、宇野昌磨に次ぐ記録と伝え聞くと「点数は意識してなかった。自己ベスト更新なので、うれしいっちゃ、うれしいけど、何と言えばいいか…」と困った。

この日は「ロード・オブ・ザ・リング」を舞った。4回転のサルコー2本とトーループ1本に、3回転のルッツ-ループの連続ジャンプも成功。演目を初披露した9月のアイスショーでは転倒もあったが「後半の4回転サルコーを前半に持ってきた。今季導入したので疲れや焦りが出る前に安定させたかった」と修正し、2本とも3・50点以上の出来栄え点(GOE)を稼いだ。

そのサルコー。中学3年で4回転トーループを跳んだ鍵山が「実は、その前に初成功していた4回転」というジャンプだ。しかし、92年アルベールビル、94年リレハンメル五輪代表の父正和さんが故障防止と質向上のため1年以上、封印。解禁した今季の大きな武器として高得点に貢献した。

ローリー・ニコルさん振り付けのSPも、佐藤操コーチ担当のフリーも8月15日に練習を始めたばかり。一般的にも完成度が低いシーズン初戦で末恐ろしいが「2日とも演技の方で課題が出たので、もっともっとブラッシュアップしないと」。最低基準を示したに過ぎないようだ。【木下淳】

◆鍵山優真(かぎやま・ゆうま)2003年(平15)5月5日、長野・軽井沢町生まれ。5歳で競技を始め、中学から横浜へ。19年に全日本ジュニアを制し、続く全日本選手権で宇野と羽生に次ぐ3位。シニアの国際大会本格デビューとなった今年2月の4大陸選手権(韓国)で銅メダルを獲得し、今季シニアに転向した。父正和さんは91~93年に全日本選手権3連覇。160センチ、51キロ。血液型O。