世界陸連のセバスチャン・コー会長が8日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長と都内で会談し、近い内に陸上世界選手権を東京で開催したいとの思いを口にした。コー氏は「私の任期中に東京で開催できれば。(日本は)91年東京、07年大阪と2回開催しており、陸上に非常に貢献してくれている。また東京でやれたら」と、東京の地名を何度も口にした。

森会長は「その話はまた後で」と記者団の前では具体的な返答はせず、会見後に別室で関係者のみの会談を行った。コー氏は午前中、国立競技場(東京・新宿区)を視察した際も、東京での世界選手権開催について言及し、東京五輪・パラリンピック後に撤去される予定のサブトラックの維持も要望していた。

国立競技場を高評価したコー氏に対し、森会長は「大変うれしい。世界陸連としてぜひ国立を五輪後も利用することを考えていただければ」と述べた。

国立競技場を巡っては17年、東京大会後に球技専用とする案が関係閣僚会議で報告されたものの昨年、陸上トラックを存続させる案も検討していることが明らかになった。仮に世界選手権の招致が実現すれば、トラック存続の大きな後押しになる。同大会は22年に米ユージン、23年ブダペストでの開催が決まっている。

また、森会長はコロナ禍で来日したコー氏に対し「IOCの有力委員でもあるコー氏が難しい状況の中で来ていただいたことは、大きなメッセージになる」と感謝し、来夏に延期された東京大会の開催へ、後押しになることを強調した。コー氏も「世界陸連として大会が成功するよう協力する」と力強かった。