日本代表候補の武田匡弘(24=関西電力)が初優勝を飾った。

「ようやくタイトルを取ることが出来た」。過去2度の大会では準優勝に終わっていただけに、悔しさを晴らした。

序盤から主導権を握り、レース後半に差し掛かるあたりからペースアップ。風が舞う難条件も巧みに乗りこなし、「全体を通してスピードを落とさず出来た。レース内容は良かった」。

今年3月22日、戸田で行われた日本代表候補選考レースを大激戦の末に制し、東京五輪(オリンピック)切符獲得に向けて大きく前進した。しかし2日後、ダブルスカルの代表クルー決定レースに臨むため熊本入りした日に、東京五輪の延期が決定。本来なら数日後に始まるはずだった試合も先送りとなったが、「(直前のレースで)出し切った部分があったので、少し心が落ち着いた」。張り詰めてきた気持ちを1度解放させたうえで、コロナ禍にあってもモチベーションを下げずにトレーニングに励んできた。

再開後最初に行われた大会で、予選、準決勝、決勝と危なげなく1着を3つ並べ、実力の高さを改めて誇示した。「この先の選考レースやオリンピックに向けて、いいスタートを切れたと思う。東京につなげていきたい」。来夏に向けて、上々の再スタートを切った。【奥岡幹浩】