北北海道で遠軽が富良野を82-7で下し、2年連続決勝に進出した。

NO8目時有斗夢(めとき・あとむ=2年)が3トライのハットトリックと活躍。本職はフランカーも、9月29日北見地区代表決定戦でNO8佐藤大輝主将(3年)が脳振とうを起こし、規定で3週間試合に出られなくなった。今大会に出場できない主将の思いも背負い、チームは18日の決勝で5年ぶりの優勝を目指す。

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快勝ムードの中でも遠軽は攻め続けた。試合終了間際。NO8目時が敵陣ゴール前のラックから右でパスを受けると、82点目のトライを決めた。前半の2トライを含めて1試合3トライのハットトリックに「FWが一丸となって道を開いてくれた。3本は素直にうれしいです」。2年連続で進出した決勝の前に、チームを一気に勢いづけた。

「むちゃくちゃ気に入っている」という有斗夢という名前には「鉄腕アトムみたいなヒーローになって欲しい、困っている人を助けて欲しい」と込められているという。今大会は北見地区代表決定戦で脳振とうを起こしたことで、規定で3週間試合に出場できない佐藤主将からNO8を引き継ぐ。「FWもBKもサポートしてくれる」と、本職フランカーとは違う役割でも器用にこなし、本家アトムさながらの救世主ぶりだ。

2年生の急造NO8の力を引き出せるのはチームの結束力があるからだ。この日同じく3トライとコンバージョンキック11本で37得点のCTB如沢海流(かいる=3年)は「FWでごりごり前に出て、有斗夢やBKで戦う」と戦術理解を重ねてきた。

今夏には石崎真悟監督(42)が国士舘大の先輩にあたる札幌山の手の佐藤幹夫監督(59)に相談した。コロナ禍で対戦相手が制限される中で同校の8月ニセコ町、9月岩手遠征に同行。18度花園出場の南王者の胸を借りた。同監督は「北北海道で戦えると証明できて、今までやったことが自信になっている」と手応えを感じている。

2年連続となる決勝は昨年0ー7で敗れた旭川龍谷が相手。如沢が「去年の借りを返したい」と言えば、目時も「主将と一緒に花園に行きたい」。決勝の舞台に立てない仲間の思いを胸に、5年ぶりの王座奪還に挑む。【浅水友輝】