来夏に延期された東京オリンピック(五輪)で卓球女子代表の伊藤美誠(19=スターツ)が18日、新型コロナウイルスによる中断から11月に再開する国際大会(中国)に出場するため成田空港から出国した。伊藤は同日、出発までにオンラインで合同インタビューに応じた。渡航先では感染症対策で10日間程度、練習すらできない隔離が義務づけられるため、記念すべき20歳の誕生日(10月21日)を隔離中に迎えることになった。それでも3月のカタールオープン以来となる実戦に気持ちを高ぶらせていた。11月8~10日に女子ワールドカップ(W杯)、同19~22日に国際卓球連盟(ITTF)ファイナルが行われる。

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卓球日本代表としての本分として、コロナ禍で行動制限がかかるものの8カ月ぶりの国際大会に出場する決断は早かった。しかし、記念すべき20歳の誕生日は、隔離期間に迎えるという、国際的に活躍するアスリートだから起こり得るまれな巡り合わせとなった。

伊藤 出発だけはお願いだから誕生日以降にしてほしいとは思ってた。最初はね。でも、まずは試合に行くことが一番だったので、そこはしょうがないなと思っています。

8カ月ぶりの実戦を前に、練習の虫である伊藤は既に気持ちを高ぶらせていた。

伊藤 決まった時は本当に楽しみというのが最初に来た。実力を上げて頑張ろうと。これだけ試合がない期間が空くことはなかった。練習もここまで、みっちりできることがこれまでなかったので、私にとってはいい時間になった。自分も見つめなおせた。

特に力を入れて練習したのはフットワークだという。

伊藤 今までも足を動かすことを重点的にやっていたが、これだけ期間が空くと、自分が足りないことにも取り組めた。本当に私が、足を使って打つことが全然できていなくて、足りないと思った。周りの選手を見て、それができてないのは、トップ選手の中で私だけだと思った。中国人選手、日本人のトップ選手でも、足を使って打つことは基本。私自身、基本ができていなかった。練習して体と足の使い方は、本当によくなっていると思う。あとはフットワークだけじゃなくて、打つときに、どうやったら自分のボールにして攻められるかを意識して練習した。

隔離期間に誕生日を迎えるが、残り少ない10代をどう過ごすのか。

伊藤 最後の10代を楽しみたいけど、卓球ざんまいなので(笑い)。帰ってきた時に楽しみを実感できるように考えたいと思う。

どんな二十歳になりたいのか。

伊藤 二十歳らしくはいたいけど、どちらかというと、私らしく楽しみたい。「こんなのがハタチ?」と思われても別にいいように、いつも、自分らしくいられるようにしたい。自分の意見を持って言えるようにもしたい。本当に、変わらない二十歳になりたいですね。誕生日の日は、本当に、二十歳になった実感はないんだろうな。でも、1日1日を楽しみながら、二十歳になっても私らしくいたい。

二十歳になったら、どういう形でお酒を飲みたいか、また何をしてみたいかを聞いた。

伊藤 私は日本で飲みたい。おいしいお酒を飲みたいので。中国から帰ってきて、誕生日の1カ月後とかになるけど、それでもおいしいお酒を飲みたいので、中国でいい試合をして、日本で乾杯をしたい。最初は身近な方たちと飲みたいです。あとは二十歳になって、友達と旅行に行きたい。普段絶対お母さんと行くので。友達と行ってみたい。

20歳になった直後に、8カ月ぶりの実戦がやってくる。

伊藤 私たち選手は試合だけのことを考えて準備したいので、本当に周りの方がすごく動いてくださっている。たぶんこれまでで一番大変だと思う。だから自分自身はしっかり試合に集中できるように、向こう行ってもしっかり準備をする。そして私らしく楽しんで、いい試合ができたらいいなと思うし、いろんな選手と、たくさん試合ができるようにしたい。帰国後に(祝杯の)乾杯ができるように。【三須一紀】