昨季、学生日本一の関学大で、今季から指揮を執る大村和輝監督(49)が、初陣を勝利で飾った。甲子園ボウル出場を決定する史上初のトーナメント方式によるシーズン。解説で来場した鳥内秀晃前監督(61)の前で準決勝進出を決めた。RB三宅昂輝(4年)がキックオフリターンTDを決めるなど、同大を相手に55-13と圧倒。昨季リーグ3位の神戸大も、近大を15-10で下した。両チームは11月8日に準決勝で対戦(王子スタジアム)する。

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大村監督は冷静に試合を見つめた。喜ぶこともなく、声を荒らげることもない。甲子園ボウル出場のためには、1試合も負けられない。そのプレッシャーの中、初戦を突破し「次に行けてよかった」と胸をなで下ろした。

名将の後任として今季から就任も、新型コロナウイルスの影響で7月まで活動自粛。8月から20人ずつ、7グループに分けて練習を再開した。例年に比べチームの仕上がりは「50パーセント」と連係などに不安はあった。

監督として初の実戦。前半は主力が出場し圧倒した。第1クオーター(Q)開始直後、RB三宅が、90ヤードのキックオフリターンTDを決めた。勢いに乗ったチームの猛攻は続いた。

だが、経験を積むために、控えメンバー中心とした後半は14-13と、ギリギリの戦いに。指揮官は「出だしの得点で楽に入れた。後半がしょぼい」と辛口。解説を務めていた鳥内氏には「『(解説で)何言うた?』と聞いておきます」と意識もした。

ランで3TDを奪った三宅は「(鳥内氏に)勝ちを見せることができてよかった。変わらず1戦必勝。やってきたことを出しきれるようにしたい」。準決勝の相手は、昨季17-15で辛勝した神戸大に決定。甲子園ボウル3連覇へ、名門が走りだした。【南谷竜則】

 

▽鳥内秀晃前監督(61)の話 緊張する初戦で、出だしで得点できて、2本目もすぐに入ったから、リラックスして戦えたんちゃうか。三宅もよかったけど、ブロックも完璧やった。どうなるか気になっていた。トーナメントで緊張していたやろうし、大村は普段通りにやってくれた。後半、代わったメンバーが、いらん反則しとった。春に練習できていないから仕方ないけど、上(主力組)も下も、もっとがんばって選手層を厚くせなあかん。現時点では立命大の方が上。ディフェンスが強い。けど、ウチはいつも総合力で勝負やから。

 

○…神戸大は第1Qで先制も、近大のランに苦戦し、第2Qで6-7と逆転された。9-10と追う展開の第3Q、敵陣エンドゾーンまで残り2ヤード。RB東瀬(とうせ)が相手DLの間をすり抜け勝利を呼び込むTDランを決めた。神戸大は、8月から練習を再開。矢野川源ヘッドコーチは「近大に勝てるか不安が強かった。(関学大戦まで)3週間でしっかり準備して、がんばりたい」と語った。