宇都宮ブレックスの日本代表候補ロシター・ライアン(31)が、シーズン序盤から切れのある動きを見せている。37得点を挙げた前日に続き、この日も両チーム最多21得点、8リバウンド、5アシストをマーク。同じ東地区の強敵千葉に快勝し、「きのう負けた分、しっかりやり返せた。チームの雰囲気が良く、力強くプレーできた」と満足そうだった。

この日の自身のプレーぶりについては、「前半はあまり積極的にできなかったが、後半に入って良くなった」。第4クオーターには、味方との息の合った連携でダンクを沈め、さらには千葉のエース富樫から奪ったボールをドリブルで持ち込み、自らのシュートで加点。敵地で反撃ムードをつくらせなかった。

来日8シーズン目を迎えた。メディアとのやりとりには通訳を介すが、日本語の理解力は相当高い。現在のコンディションについて聞かれ、「セブンティースリー・ポイント・ファイブ・フォー(73・54)パーセント」と回答。それを「73・5%ぐらい」と訳されたのを隣で確認するや、「ノー、ノー。ななじゅうさん、てん、ごー“よん”パーセント」と、すぐさま日本語で強調した。

小数点2桁にまでこだわった真意は不明ながら、残る“26・46パーセント”については、焦らずじっくりと上げていくつもりだ。「コロナ禍でオフシーズンが長く、過ごし方が難しかった。まだ開幕したばかりなので、無理せず、少しずつ状態を良くしていきたい」。3月に昨シーズンの打ち切りが決まった後は、しばらく日本で過ごしたのち、兄が暮らす米ロサンゼルスに滞在。8月上旬にチームに合流し、新たなシーズンに備えてきた。

ニューヨーク州出身で、昨年12月に日本国籍を取得、今年2月のアジア・カップ予選に出場した。国際連盟のルールでは、16歳以降に国籍を変更した選手の代表チーム登録は1人まで。昨年のW杯に出場したファジーカス(川崎)や、今年1月に日本国籍を取得したエドワーズ(千葉)と狭き門を争うことになる。そのエドワーズとはこの2日間、“直接対決”する形となったが、「どの試合であっても、誰との対戦というのは考えていない。チームが勝てるようにするだけ」。あくまで自然体で臨んだという。

東京五輪(オリンピック)の1年延期については、「コロナで世界中のスポーツが中止や延期になったし、当然のことだと感じた。みんなが安全に暮らせることが大事」と理解を示す。来夏の大一番に向けて、「もちろんプレーしたい気持ちは変わらないが、いまは目の前のBリーグが唯一の目的。そこに集中したい」。まずは4季ぶりのリーグ制覇に全力を注ぐ。【奥岡幹浩】