19年ラグビーW杯日本代表のNO8姫野和樹(26=トヨタ自動車)が夢をかなえる。世界最高峰スーパーラグビー(SR)のハイランダーズ(ニュージーランド、NZ)で海外挑戦が決まり、22日はオンライン会見。代名詞「ジャッカル」を磨き、全試合出場を誓った。リーグは来年1~6月を予定し、年内の出発を目指す意向。22年1月開幕予定の新リーグではトヨタ復帰を基本線とし、23年W杯フランス大会へ武者修行に出る。

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そこには、生き生きとした表情の姫野がいた。19年W杯オーストラリア代表主将のフーパーら、大型補強が続くトヨタ自動車。後ろ髪を引かれながら、海外へ向かう理由を言い切った。

「『夢をかなえる』っていうところですかね」

1年前、W杯準々決勝でのちに優勝を飾る南アフリカに屈した。「満身創痍(そうい)で、自分のプレーが全然できなかった」。向上心はさらに強くなった。

トヨタか、海外か-。世界的選手を補強したチーム内では「そういう選手から学ぶ機会は、なかなかないよ」と説得された。一方でW杯日本代表のリーチ主将(東芝)からは「姫野ならやれるから、行った方がいい」。ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)からは「挑戦することが大事。HCとしては今季に行ってほしい」と代表強化の目線で背中を押された。決断を下した最大の理由は「夢」だった。

「今後の自分の夢は『ラグビーを日本でなくてはならない存在にしたい』。チャンスをつかむことで、日本ラグビーに大きな物をもたらせると考えています」

防御時の攻防で相手ボールに絡む「ジャッカル」。W杯で代名詞となった強みは「大きい選手からもボールを取れるか試したい」と力を込めた。走るコース、ボールのつなぎは「NZの選手たちには見えていて、僕には見えていない部分がある」と貪欲に学ぶ。全ては日本をけん引する存在として、帰ってくるためだ。

「やっぱり目標は全試合出場、SR優勝。その2つが目標です。リーダーとしても引っ張っていきたい」

ラグビー王国でも自分らしく勝負する。【松本航】