一般では無名の慶大生が、いきなり全日本決勝に躍り出た。主催者推薦出場で19年全日本学生優勝の今村昌倫(21=慶大)が、第8シードの山崎純平(23)を3-6、6-2、6-3の逆転で下し、自身初の決勝進出だ。大学所属選手としては04年権亨胎(近大)以来16年ぶりの決勝に進んだ。今村は「最近、学生の決勝進出がなかったので、どうしても勝ちたかった」と喜んだ。

大阪・清風高のジュニア時代は、16年高校総体でダブルス準優勝と、シングルスよりもダブルスで結果を残した。ただ、慶大進学後は、めきめきとシングルスの実力が上がり、19年には全日本学生、全日本学生室内の学生2冠。「ジュニア時代は体が弱くて、すぐにけいれんしていた。大学で体を鍛え、集中力も増した」。

もし優勝すれば、学生所属選手では79年福井烈(中大)以来41年ぶりの快挙となる。アマチュアのため優勝しても、優勝賞金320万円はもらえず、日当と交通費の支給だけ。ただ、天皇杯を掲げる全日本のタイトルは、賞金よりはるかに重いかもしれない。

決勝では、これも初優勝を狙う中川直樹(23)と対戦する。両者は公式戦では初対戦となる。