慶大が、ラストプレーで劇的な逆転勝利を収めた。10-12で迎えた後半ロスタイム。明大の反則で得た敵陣でのPGを、1年生FB山田響(報徳学園)が左足で決めて13-12とひっくり返した。

試合は前半5分、慶大が山田のPGで先制した。13分に明大が追いつく。SO斉藤誉哉(2年=桐生大一)がトライ。自陣からのキックを猛追し、敵陣で再び前に蹴られたボールをインゴール内で押さえた。14分に自らキックも決めて7-3とした。

その後の26分間、後半も15分過ぎまで無得点の拮抗した試合が続いたが、17分に慶大が逆転する。モールで押し込んで、最後はフッカー原田衛(3年=桐蔭学園)がトライ。慶大が3点リードした。

後半29分にも慶大はモールで前進したが、ここは明大が意地で食い止める。ノットリリースザボール(倒れたままボールを離さない反則)を誘うと、流れをつかんだ。自陣10メートルライン付近から攻勢に転じ、スクラムからサインプレーが決まって、途中出場のCTB斉藤大朗(4年=桐蔭学園)が抜け出す。最後は同じく途中からフィールドに立ったWTB高比良隼輝(3年=長崎北)につながってトライ。明大が逆転して12-10とした。

昨年は40-3で明大が慶大に圧勝したカード。今年は「魂のタックル」で粘った慶大が接戦に持ち込み、最後まで諦めなかった。終了間際、相手ボールだったが、後半からフランカーに入った高武俊輔(2年=尾道)がボールを奪う。そこからの連続攻撃でオーバーザトップ(相手側に倒れ込んでボールが出るのを妨げる反則)の反則を誘った。

アドバンテージでプレーが続いた中で、後半41分、まずはSO中楠一期(2年=国学院久我山)がDGを狙う。これは外れたが、明大の反則が適用された後に選択したのはPGだった。同42分、ルーキー山田が決めて13-12と逆転し、同時に試合終了の笛が鳴った。

再々逆転で、昨年の対抗戦王者・明大を同5位の慶大が撃破。両校ともに3勝1敗となった。【木下淳】