慶大が、ラストプレーで劇的な逆転勝利を収めた。10-12で迎えた後半ロスタイム。明大の反則で得た敵陣でのPGを、1年生FB山田響(報徳学園)が左足で決めて再々逆転。13-12とひっくり返した直後に試合終了の笛が鳴った。

オンラインの共同会見には、栗原徹監督(42)と相部開哉主将(4年=慶応)フランカー北村裕輝(4年=慶応)が参加。興奮の最終プレーについて、それぞれ語った。

北村「80分間の最後のプレーと分かっていた。これまで準備してきたものが出せて良かった」

相部「まだ時間が残っていたので、どう使おうか考えた。終了の笛が鳴った瞬間、我慢して良かった、報われたと思った。23人だけじゃなく、全部員の努力の結果」

栗原監督「キックが入る前から、僕らスタッフは握手していた。精いっぱい頑張ってくれたので。入っても入らなくても満足。そう思っていたけど、決まって喜んだ選手たちの顔を見たら、やっぱり入って良かったなと。80分間、素晴らしいゲームだった」

続けて、大事な場面を大型ルーキーとはいえ、新入生の山田に任せたことについて相部が「前半からタッチキックの失敗などがあったけど、響のことは信頼しているし、キッカーということは慶応で1番キックがうまいということ。つまり響が失敗しても、慶応が失敗したということ。任せた自分の判断が間違っていたということ。最後、重圧を与えてしまったかもしれないけど、大舞台を経験している男だし、立ち振る舞いを見ても、逆境を乗り越える力があると思ったので任せました」と説明した。

名キッカーだった栗原監督も「それ以外のミスがあるので、しっかり怒りたい」と冗談を飛ばしつつ「いい経験になるな、入っても入らなくても成長していく糧になるな、と思った」と迷いなく見守った結果が吉と出た。【木下淳】