慶大が、ラストプレーで劇的な逆転勝利を収めた。10-12で迎えた後半ロスタイム。明大の反則で得た敵陣でのPGを、1年生FB山田響(報徳学園)が左足で決めて再々逆転。13-12とひっくり返した直後に試合終了の笛が鳴った。

オンラインの共同会見には、栗原徹監督(42)と相部開哉主将(4年=慶応)フランカー北村裕輝(4年=慶応)が参加。伝統の「魂のタックル」について質問され、敵陣に押し込んだ守備やチームの取り組みについても語った。

昨年の対戦は40-3で圧倒された。今年9月の練習試合では26-33。メンバーも違ったが「その時の北村はパニックになっていた」と指揮官。それでも公式戦では勝ち切った。この日、最もフォーカスされた劇的なフィナーレだけでなく「魂のタックル」と全員守備で、僅差のゲームに持ち込んだことが勝因だ。

栗原監督は「4年生の努力の勝利。組織守備も向上した感覚がある。タックルでも、今日の北村は慌てることなく、相手を追い詰めて仕留めてくれた。マン・オブ・ザ・マッチはCTBの三木亮弥(4年=京都成章)だったけど、僕の中でMVPは北村だったので、ここ(会見)に連れてきた」と称賛した。

177センチ、98キロの北村が「あまり覚えていない」と無我夢中で繰り出し続けたタックルが、チーム全体に浸透しており、昨年の対抗戦王者・明大を止めた。スーパーラグビー・サンウルブズの練習生だった188センチ、107キロの明大NO8箸本龍雅主将(4年=東福岡)を「強かったです」とうならせ、同じく明大の先発SOに抜てきされた斉藤誉哉(2年=桐生第一)に「相手の圧力にのまれてしまった」と言わしめた。

昨年の慶大は対抗戦Aで5位。22年ぶりに全国大学選手権へ進めず、12月から現チームは始動した。パスやハンドリングなどのスキルや体力づくりに一から取り組み、相部主将は「大学選手権に出られなかったのは悔しかったけど、今年にチームにとってはポジティブ。しかも新型コロナで、ほとんどのチームが練習できなかった中、去年の12月から基礎のスキルを固めてきたことが、今になって生きてきたのかな」と考えている。栗原体制2年目。リベンジを期す慶大は8日に青学大、23日に早大、12月6日に帝京大と対戦する。【木下淳】