五輪個人総合2連覇の内村航平(31=リンガーハット)が鉄棒のH難度「ブレトシュナイダー(コバチ2回ひねり)」に初成功した。

8日に東京・国立代々木競技場で行われた国際大会「Friendship and Solidarity Competition(友情と絆の大会)」に出場。跳馬に続き、2種目目となった鉄棒で、世界で数人しか成功者がいない離れ技「ブレトシュナイダー」を決めきった。肩の痛みの影響で、来夏に予定される東京五輪には2連覇中の個人総合ではなく、種目別の鉄棒での金メダルを目指している。

大会はコロナ禍以降で初めて国内で開かれた五輪競技の国際大会で、来夏へのテストケースとしても注目を集めていた。開会式では選手を代表し「こうして制限がある中でもスポーツの試合をやり、夢や希望を与えることが使命だと思います。来年の五輪につなげることも大切ですが、みなさんに夢と希望を与えられる選手じゃないと来年の五輪にもつながらない。立ち上がって歓声をあげたいくらいの演技ができればいいと思います。応援よろしくお願いします」と力を込めていた。その言葉どおりに、思わず立ち上がりたくなるような演技。カッシーナ、コールマンという高難度の離れ技も危なげなく決め、15・200点の高得点をたたき出し、幾度もガッツポーズした。

 

◆ブレトシュナイダー コバチ(バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り懸垂)をしながら2回ひねる。14年に発表され、15年にアンドレアス・ブレトシュナイダー(ドイツ)から命名。鉄棒ではI難度に次ぐH難度で、成功者は世界で数人に絞られる。