カムバックしたベテランが女王を撃破した。女子500メートルで郷亜里砂(32=イヨテツク、別海町出身)が38秒28で優勝。国内大会の同種目では4季無敗の平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)金メダリスト小平奈緒(34=相沢病院)に15年12月以来の土をつけた。8位だった平昌五輪後に引退したが、昨季2季ぶりに復帰。“北京へGO”とばかりに、五輪プレシーズンで勢いをつけている。

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郷が小平に勝った。最終組での直接対決。100メートルは0秒02追う展開も、小平が第2コーナーでバランスを崩して減速。逆転すると、最後の直線で振り切り、0秒02差で退けた。1学年違いの同世代で、中学、高校時代から一緒に滑走する機会もあった。相手のアクシデントを目の前で見ていただけに複雑な思いもあったが、「今までスケートしてきて、初めて同走で奈緒さんに勝って優勝することできた。素直にうれしい」と喜んだ。

メダルを狙った平昌五輪では8位。一方で小平は金メダルを獲得した。自身は五輪を区切りに一度は現役を退いた。約1年、ジュニアの指導などをして過ごすうちに、スケートの技術面など見えてきたものがあった。それを実現できれば、絶対に強くなる自信があった。だから「平昌五輪よりさらに上の自分を目指してやっていきたいな、という気持ちで戻ってきた」。

500メートルでは15年12月の全日本スプリント以来、国内大会無敗だった世界覇者を下しての勝利。「まずはここで1つ優勝することができたことは、少し自分の自信になる」とうなずく。11月の全日本距離別選手権では2位と勝てなかったが、0秒03差の惜敗。「奈緒さんとの距離感は少しずつ縮まってきてるかなって気はする」。そう実感しても慢心はない。「自分が求めているものを、しっかりもっと突き詰めていきたい」と、さらなる向上心をのぞかせていた。【保坂果那】