女子は帯広南商が準優勝し、10年ぶりに男女上位2チームに与えられる全国大会(来年1月5日開幕、東京)出場権を獲得した。この日が冨田誠治監督の59歳の誕生日。主将の松本杏胡(あこ、3年)は「いつもこの大会の時期は負けていたので、高校の最後で先生に、いいバースデープレゼントを贈れた」と喜んだ。

大会への移動前に、部員同士で相談し、監督の名前にちなみ米アパレルブランド「トミー」のフリースをプレゼントした。「大会中に着られるように(松本)」と準備したものだったが、同監督は「大事にしまってしまった」。大会中に着ていない監督を見た松本は「やっぱり1番のプレゼントは勝つことだ」と自身に言い聞かせ誕生日当日、しっかり全国切符を届けた。

ダブルエースの松本と脇坂日和(3年)は、大けがから復活しての悲願達成でもあった。1年の10月に松本、1月に脇坂が、いずれも練習中に右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し約1年、離脱した。松本は2年秋、脇坂は今年1月の新人戦で復帰も、今夏の高校総体はコロナ禍で中止。全国切符がかかる今年最初で最後の大会にかける思いは強く、脇坂は「1日でも長く、みんなとバレーができてうれしい」と笑顔で話した。

全国高校総体は18、19年と2年連続出場も、いずれもグループ予選全敗。昨年はマネジャーとして同行した松本は「全国に出てきたチームは粘りが違った。敗れた2年間の経験を生かして1勝したい」。松本は高校で競技を引退して来春から帯広市の職員となる。最後の晴れ舞台で仲間と勝利を挙げ、気持ち良くバレー人生を締めくくる。【永野高輔】